しわがれた抑揚のない老婆の声で

カテゴリー「都市伝説」

バイトしてた大学生時分の頃なので、約10年程前、今頃の季節の話です。
バイト終わりの夜分に携帯を見ると、見知らぬ番号からの着信が有りました。
080でも090でもない番号なので、今にして思えば怪しさ全開ですが、人間関係が
加速度的に増えていた時期だったので、最近知り合った誰かだろう?と、軽い気持ちで折り返しの発信をしました。

数コール後に通話が繋がると、しわがれた抑揚のない老婆の声で「いつお帰りになりますか?準備はできております。」と。

予想外の衝撃に数秒間フリーズし、硬直が解けても「あ・・・え?・・・いや・・・」位しか話せず、その間こちらのリアクションを律儀に黙って待つ老婆。
さらに数秒後、面と向かってる訳じゃなくて電話なのだから切れば良い・・・という事に気付き、通話終了。
しばらく心臓がバクバクでした。

同日深夜まで数回に渡って着信があり(1時までは確認、寝ない老婆)、この世ならざる者なのか、変な人、痴呆老人なのか、よく分かりませんが、その後着信拒否にしてあっけなく終わりました。
ちなみにその電話番号は家電で、九州(県は忘れました)の市外局番でした。(当方は東北)

その後、社会に出て数年経った頃なので、大体5年程前の冬。
当時勤めていた会社支給の携帯に知らない携帯番号からの着信が。
取引先かと電話に出るといつぞやの老婆でした。

いつぞやの調子で「今日はどうなさいますか?」と。
ぞわわっと全身に鳥肌が立ち、速攻で電話を切って着信拒否にブチ込みました。

午後一番位の社内であったと記憶していますが、自席で泣きそうになっておりました。
着信拒否設定をして数時間後、非通知設定での着信が・・・。
嫌な予感しかしませんでしたが、非通知設定で掛けてくる取引先もいた為、無視するのも憚られ着信に嫌々応じると、案の定、老婆でした。

「今日こそはお帰りになられますか?」

うわぁぁやっぱりかよ、と再度泣きそうになりました。
というか実際半分は泣いていました。
このよくわからない老婆は前回からの5年の間に携帯電話を入手し、あまつさえ着信拒否の回避方法まで習得していたのです。

すぐに通話を終了し非通知着信拒否設定にしましたが、非通知着信拒否の壁も老婆の持つ理由や目的もよくわからない向上心によって突破される様な、じわじわと逃げ道を塞がれる錯覚を感じ、しばらく気が滅入っていました。
非通知着信拒否設定によって取引先に怒られるという実害も出ましたし。

しかしながら今のところこの壁は破られておらず、老婆にとって高い壁である様です。
ただもうそろそろLINEあたりから突が来そうな漠然とした不安があるのです。

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