俺が高校時代の話。
ある日、俺は休み時間の教室で突然『静かな湖畔』の歌を歌いたくなった(何故そうなったかは記憶にはない)。
で、声には出さず、頭の中で(♪静かな湖畔の森の影から)と歌った。
するとこちらにやってきた女生徒が俺の歌と全く同じタイミングで「♪もう起きちゃいかがとカッコウが鳴く」と声に出して続きを歌った。
眼も合わせていない。
その歌に驚いた俺がそちらを見ると自分が当時、片思いだった娘だった。
その女生徒は友達に「なんであなた突然、歌いだすの?」と訊かれ「よく解らないけど歌いたくなったから」と答えていた。
俺は「俺が頭の中で歌っていたんです」というのもこっぱずかしいのでその場は黙ってスルーした。
そして、俺は片思いのまま、卒業した。