もう遅ぇよ

カテゴリー「不思議体験」

友人から聞いた話。

そいつは大学一年生になるんで、大学に近いアパートに一人暮らしをする事になったらしい。
二浪したそいつは、既に同じ大学に通っている予備校からの友達三人を呼んで、引っ越しを手伝ってもらって、そのまま皆でアパートで酒を飲み始めたらしい。

その後、一人一人帰り始めて、最後の一人が帰るというので、友人は玄関の外まで見送って部屋に入った。
飲んだ後の片付けが面倒なんで、そのままにして寝る事にし、寝室に布団敷いて、電気消して毛布かぶって寝ようとした。

カーテンが無いので、外の明かりが入って来て、それまで真っ暗で寝てたそいつはなかなか寝付けなかったらしい。
ウトウトし始めた時、ドアの鍵締めたっけな?確認しなきゃって思い始めて、そいつは霊感があるって自分で言ってたけど、鍵かけてない玄関は、何かそういうのが入って来ちゃうんだとか。

それは嫌だし、単純に変な奴とかに入られても怖いし、めんどくさいけど取り敢えず確認しに行くかと思った。
眠い中心を決めて目を開けた。

その瞬間、目の前20センチくらいの所に、生気の無い覗き込む男の顔があって、凄まれた。

低い声で「もう遅ぇよ」って。

その瞬間、条件反射で毛布を頭までバッとカブった。
殺されると思ったらしい。

そのまま一分ぐらい経っても何もして来ないんで、ソロソロと毛布を下げたら、そいつは居なくなってたらしい。

今はその友人は既に違う所に住んでるけど、未だにその時の、覗き込んで来た男が、人間なのかそうで無いのか、分からないって言ってる。

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