アメリカで聞いた話。
その人は国立の森林公園で働いているのだそうだ。
仕事で森の中に篭もっている時のこと。
寝ていると、いきなり近くで爆音が響いた。
慌てて飛び起きテントの外を窺ってみたが、闇が広がるばかりで何も見えない。
音はすぐ聞こえなくなったが、間違いなくチェーンソーの音だったという。
どうにも落ち着かなくなり、結局それ以降は眠れず朝を迎えてしまった。
同僚と落ち合ってからこの話をすると「眠らなくてよかったなぁ」とホッとした顔で言われた。
気になって仕方がなかったが、それ以上は言葉を濁されてしまったという。
闇に沈む森でチェーンソーを駆っていた者は、一体誰だったのだろうか。