友達からさっき聞いてきた話。
本当か否か・・・彼は一応誠実な部類には入るけど・・・どうだろな。
今から5年前、その友達は自立して上京した。
それまで使っていた実家の部屋からは何も持ち出さなかった。
全てを捨てて新たな気持ちで・・・という事だったらしい。
貧乏性の俺には考えられんが・・・。
中には恥ずかしいもの(推して知るべし)とか色々あったりして、捜索とか掃除とかされると不味いからと鍵を取り付けて出てきたらしい。
鍵を持っているのはその友達だけという事だ。
親にもその旨伝えてあるという。
親は、『あぁそうかい。じゃあ何もしないで放っておくよ』というような事を言っていたとの事。
そして去年の冬、実家に帰ったんだそうだ。
数年ぶりに実家に帰って両親や兄弟とゆっくり団欒を楽しんだ後、開かずの間となった自室に入ってみる事にしたという。
しかし、鍵はさび付いたのか、壊れたのか知らないが開かなかった。
意地っ張りでもある友達は業者を呼んで半ば無理やりにドアを開けた。
眼前に広がっているのは埃に塗れた、独特の経年の臭いのする部屋であった筈なのだが・・・。
埃等1つも落ちておらず、散らかっていた筈の部屋は綺麗に整理整頓されており、そして明らかな生活臭を感じる部屋だったという。
一緒に覗きに来ていた両親共々その異様な状況に呆然。
友達は両親がやったものと決め付けてしばし口論になったそうだが、絶対に違うと言い張る両親を信じる事にしたという。
あの気味悪い部屋をどうするかでしばし議論して出た結論は、再びドアを封じて本当の意味での開かずの間とし、今後一切中に入ろうとはしない事とする、だったそうだ。
「お払いとかしねーのかよ」と聞いてみたが、「別に迷惑は掛かってないしなー」と返された。