クツムシに噛まれた

先輩の話。

学生時代、他校の者と一緒にキャンプした時のことだ。
テントから出ようとすると、自分の山靴がなぜか二足ある。
訝しく思いながらも、手近の一足を引きよせ履いてみた。
湿った泥に足を突っ込んだような、奇妙な感覚。
突然痛みが襲ってきた。
爪先を齧られているかのような激痛だ。

のた打ち回る先輩の様に皆が慌て、とりあえず押さえ込んで靴を脱がせた。
分厚い靴下に血が滲んでいる。
それも脱がせてみると、小さな歯型が沢山、足の皮膚に刻まれていた。

薬を付けているうち、肝心の靴のことを思い出す。
探してみたが、既にキャンプ場のどこにも、脱がせた筈の靴は見当たらない。

「そういえば、この山にクツムシという虫が出ると聞いたことがある。どんな虫かは知らないが、あれがそうだったのかもな」

引率の教師が一人、そんなことを言っていたそうだ。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!