不思議という落とし物

夏は茶色い、あまり見栄えのしない色だが、冬ともなれば真っ白な羽毛をまとうその鳥は普通、高山にいる。
夏の姿と比較されるだけに、冬の白装束の美しさは格別だ。
その鳥が、寒いとはいえ、標高の低いその山にいるのはかなり珍しい。

その鳥を近くで見かけたら、その場所へ行ってみるのは里の人々にとって、ちょっとした運試しだ。

時として鳥のいた場所には、落し物が転がっている。
きれいな水晶や鉱物類、玉虫の羽や、珍しい木の葉、琥珀、庭にでも蒔けば、ささやかな実りをもたらす果実の種などだが、里の人々は鳥のいた場所に落ちている、こうしたものを「不思議」と呼ぶ。

鳥を狙う猟師もいる。
鳥の白い姿が美しい冬にやって来て、鳥を罠で捕らえようと山を駆け回る。
猟師が来ると鳥は姿を隠してしまうが、その間に鳥は、たくさんの不思議を用意しているのだと言われている。

そして鳥は、茶色と白を行ったり来たりしながら、気まぐれに不思議を残し、里の人々の心に何かを残す。
ざっと二十世代に及ぶ歴史を持つ里だが、もし鳥の不思議がなければ、里の姿は内も外も、ずいぶん違ったものになっているだろう。

今は夏。
鳥は茶色い羽毛をまとい、不思議を探している。

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