紙一重の神様

知り合いの話。

彼はその昔、仕事で南米に赴任していたことがある。
さしたトラブルも無く無事任期を勤め上げたのだが、何度か不思議な事柄に遭遇したのだという。

取り引きのため、奥地の集落を訪れた時のこと。
村に入る前に現地のガイドがおかしな注意をしてきた。

ガイド:「ここにいる間は絶対に火を起こさないで下さい。絶対にです!ライターすら使ってはいけません」

どうやら、その集落では火がタブーとなっていたらしい。
ガイドに聞いたところ、その村には火の神様がいるのだと。
普段は寝ているので大人しいが、集落内でちょっとでも火の気が上がるとたちまち目を覚まし、一頻り暴れてから再び眠る。

火神だけにその暴れ様は恐ろしいもので、過去に何度も大きな山火事が発生しており、被害も尋常ではなかったのだとか。

どうしても火を使わなければならない時は、村から数キロほど離れた専用の岩場で扱っているという。
どうしてこんな不便な所に人が住むのだと聞いてみると、「逃げても神様が追いかけてくるから、どこでも一緒なんです」とのことだった。

ガイド:「仕事は順調に運んだけど、煙草が吸えなかったのがキツかったな。しかしああなると、守り神なのか祟り神なのかわからないね」

そう言って彼は笑っていた。

風の噂では現在もう件の集落は失くなり、深い森となっているそうだ。

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