数百キロ追いかけてくる蛾

カテゴリー「不思議体験」

数年前、大学の准教授をしていて、麺県のM町に住んでいた。

ある日住んでいるアパートのドアにありえないデカい蛾(長径30㎝はある。ヨナグニサンのような目のような模様のある蛾)が貼りついていた。

農学部出身ながら、虫の苦手なオレは、奇声を発し、たまたま手にしていた傘で蛾をふりはらった。

蛾はとにかくデカかった。
見た瞬間、あまりにもキモかったので、思わず攻撃してしまったけれど、ググればヨナグニサンは13~14㎝ぐらいらしい。
アパートのドアの端から端に達しそうな巨大な蛾。

国内最大というヨナグニサンを遥かに凌駕している。
しかもここは沖縄から数百km隔たっている。

蛾の話はこれでおしまい
伏線とか、何かよくわからん。
あったまま書いてるだけだから。

翌日、帰宅すると、家の前には蛾の死体もなく、きれいなままだった。
ただ、黒白斑のネコがドアの前に行儀良く座っていた

これまでも、アパートの近くでノラネコは見ることはあったが、どのネコも、当然、オレが近寄ると逃げていた。

しかし、その白黒斑のネコ(尻尾はものすごく短かった)はオレが近づいても逃げることなく、オレのアパートのドアの前にちょこんと座っている。

で、オレがドアを開けると、そのネコがまっしぐらにオレの部屋に入り、寝室のベッドの上に鎮座した。

鎮座ましました。

そのアパートはペット禁止だし、田舎ならではというか、大家さんがかなりフレンドリーで、住人とコミュニケーションが十二分に取れているので、他の部屋のペットが間違いで入ってきたとも思えないのだけれど。

結局、その黒白斑のネコはオレの部屋でベッドを占拠し、シーチキン罐を2つ平らげ、オレを床で寝かせて、翌朝出ていった。

それまでオレがどんなに追い出そうとしても動かなかったのに、翌朝、オレが出勤する時に、「ニャー」と一声鳴いて出ていった。

このままウチの飼い猫になる気だろうか?
そう思って、シーチキンではなく、ローソンでちゃんとしたカルカンを買って帰ったのだけれど、もう二度とそのネコを見ることはなかった。

いまだにその黒白斑のネコは見かけていない。

ネコはヒトではなく、家につく、というけれど、何であの日、一泊だけしていったのだろう。

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