小さいころに実際に見たんだが、俺の家の近くに神社があって、その裏手に小さな山がある。
よくそこで遊んだんだが、ある日山道に血みたいなのが点々と落ちていた。
気になってその跡を追っていたら、山の中腹あたりの草むらに入っていった。
そのまま歩いたら、廃墟になった家があった。
その家の中からトントンという音が聞こえてきて、怖くなって逃げた。
あれって何だったんだろう・・・。
ありがちな伝説なんだが、昔村に度々やまんばが現れて人を攫っては喰っていたらしい。
ある朝、村に一人の若者が現れて、やまんばの住む山に向かっていった。
そして夕暮れ、若者は村に戻ってきて「もうやまんばは二度と現れない」と言って去って行った。
若者の言うとおり、二度とやまんばは現れなかった。
若者は誰だったのか、やまんばはどうなったのか・・・。
祖父ちゃんとかに聞いてみたんだけど、誰も知らなかった。
俺が見たのってもしかしてやまんばの家だったのかな。
だとすると、あの血の跡と廃墟から聞こえてきた物音って・・・。