カルテ倉庫にいるケンタ君

カテゴリー「不思議体験」

病院で事務員やってた時の話。

自分の病院の地下にはカルテ倉庫がある。

2~5年前のカルテは全てここに収められていて、久々の患者がくるとわざわざ地下まで取りに行かなければならない。

そして、このカルテ倉庫のドアのすぐ右脇に30cmくらいの隙間があり、そこに“ケンタ君”の愛称で呼ばれてる等身大の人形があった。

応急処置講習とかに使う人形なのだが、いつも青いビニールシートにくるまれていて、しかも必ず足だけ見えてるという、どう見ても狙ってるだろ・・・という置き方で安置されてた。

かく言う自分も入職初日の案内時、ケンタ君が目の端に入ってしまい、本気で飛び退いたら課長代理のおばちゃんに笑われた。

で、このケンタ君だがたまに内科受付とかのヘルプで入って、地下にカルテを取りに行かせられると毎回ではないんだが、ちょくちょく向きが変わってる。
手前に足が来てたり、奥に足がきてたり、案外駆り出されてるんだなー、くらいにしか、その時は思ってなかった。

そしてある日の夜勤日。
もう3,4回入ってそろそろ慣れてきた頃。

22時頃に急患が入り、当直医師は受けるとのこと。
患者検索の結果、まだ地下にカルテをがあるようなので仕方なく地下へ。
さすがに夜の地下は怖いので、廊下の電気全部つけて倉庫突入。
入る直前、ケンタ君に心の中で「こんばんわー」とか言いいながら入ってく。

微妙に番号違いの場所に入ってたので、探すのに手前がかかってしまった。
急いで上に戻ろうと出た瞬間、意識はしてないのに左に目がいった。

(・・・あれ?足が出てない・・・?)

入る前は確か、奥側に足があってそるがよく見えた。
今はそれが見えない。
という事は今、足があるのは・・・。

探すのに手前どったとは言え時間すれば10分程度。
こんな短い間に・・・いやそもそもこんな時間に、誰が何の為にわざわざ地下まで来ると言うのか。
急に背筋が寒くなり、急いで上まで駆け戻った。

それから、しばらくしてだがAEDの講習会があり、そこで人工呼吸用の人形が使用された。

終わった後、庶務の同僚に「ケンタ君ちゃんと見たの初めてかも」と話すと「え?あれはケンタじゃないよ別の新しいヤツ。あんな埃だらけのもう使わないって。第一、まんま放置してる人形に人工呼吸なんてなんて嫌だろ?」と。

聞けばケンタ君は使われなくなって久しいらしい。
少なくとも自分が入る前にはお役目御免だったそうだ。

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