俺の中学の時の担任の話。
担任の1番仲の良い友達は、登山サークルに入っていた。
冬休みのある日、先輩2人、後輩1人の4人で冬山登山をしに行こうということになり、北海道の大雪山へと向かった。
登山開始から2日目、急に天候が悪くなり、どうしようかと狼狽していると、100m程先に山小屋らしき建物が見えた。
一向はそこの山小屋でやり過ごそうと、山小屋に避難した。
その山小屋には寝袋にくるまって寝ている人が1人いた。
一向は暖炉に薪をくべて火をつけた。
外はどんどん吹雪になっていく。
何時間たっても先客の人が起きないので声をかけても起きる様子はない。
顔を覗き込むと真っ白で、呼吸もしていない。
死んでいた。
吹雪の中、逃げ出すわけにもいかず、一向は気持ち悪いのを我慢して寝ることにした。
担任の友達がふと目を覚ますと、死んでいるはずの先客がその友達の隣に移動していた。
担任の友達はいよいよ気持ち悪くなり、山小屋の隅のほうに移動した。
他の連中は寝ている。
友達も疲れからかすぐ眠りについた。
またふと目が覚めて、隣を見るとまた先客が友達の隣に移動していた。
なんだこれは。
友達は持っていたビデオカメラをセットし、その死んでいた先客にピントを合せてまた反対の隅のほうに移動して眠りについた。
朝になるまでに何回も目が覚め、その都度、先客は友達の横に移動していた。
朝になると、外は雲ひとつない快晴になっていた。
一向はこのまま登山を継続する気にもならず、そのまま下山することにした。
下山してすぐ、警察に向かい、山小屋に一つ遺体があるのを報告した。
その日の夜、旅館で友達は昨夜の話をした。
死んでいるはずの先客が知らないうちに自分の隣に来ていて怖かったと、ビデオで撮影したから一緒に見てくれないかと。
友達は旅館の部屋のテレビにビデオカメラをつなぎ再生した。
すると・・・、一緒に映っていた担任の友達がむくっと起き上がり、寝袋から出て、先客をひきずって自分の横に移動させたのだ。
それを朝までに何回も繰り返す。
当然、担任の友達には記憶がない。
一向はそろって恐怖にひきつった。
旅館の外で、そのビデオテープを燃やし、顔面蒼白になっている担任の友達をみんな揃って落ち着かせた。
今となっても、なぜそうなったかは謎である。
その担任の友達は何事もなく日々をすごしているらしい。