私が高校生の時の先生から聞いた話です。
その人は歴史の先生で、山にある古墳や貝塚などを見て回るのが趣味という人でした。
近隣の山にある貝塚や古墳などを調べては地図に書き込んで、休みには山に入ると写真を撮ったり、いろいろと調査したりとしていました。
ある日、少し遠くにかなり保存状況の良い古墳があると聞いて行ってみたそうです。
山の中腹あたりに少し広い平地があり、そこに方墳と呼ばれる種類の古墳がありました。
形もそんなに崩れてはおらず意外としっかりしていたので、先生は大喜びで古墳の周りを調べていると、側面に一箇所だけ石が積んであり、中に入れそうなくらいの口を見つけました。
「ふ~ん、こっから棺を入れたんだろうか?」と先生は思い、ちょっとだけ入ってみましたが、すぐに石の壁があり、行き止まりになっています。
「行き止まりか、やっぱり塞いであるよなあ」
そう思いつつ、石をなでていると、石壁の向こうから「ドン、ドン!」と誰かが石壁を叩く音がします。
先生が驚いて固まっていると、右や左からもドン、ドンと土や石を叩く音がしてきました。
気持ち悪くなり、大急ぎで帰るとウチで出迎えてくれた奥さんが、「まあ、背中に手形をいっぱいつけて・・泥遊びしてたの?」と言うので、シャツを脱ぐと泥の手形がびっしりとついていました。
「あれからは一人で古墳めぐりするのは止めたよ・・流石に怖かった」
先生はそういっていましたが、たまに数人で古墳めぐりをするそうです。