朝からスマホに着信お知らせのランプが点いている。
確認すると、着信時刻は昨夜23:30。
確実に起きていた時間だし、それ以降もスマホを触ってる。
もしかしたらその時刻も触ってたかも知れない。
不思議な事もあるもんだ。
通知不可能という発信元も気になったけれど、過去にも会社の固定電話からの場合、そうなる回線もあるって知ってたから、間違い電話のたぐいだと気にしなかった。
それから毎日、朝になると着信お知らせのランプが点いてる。
時刻も同じ23:30。
気持ち悪いけど、呼び出し音もならない訳だから、どうにも出来ない。
そうこうしてる内に、一週間が過ぎた。
そして、少しだけ変化があった。
23:30に一瞬だけ着信画面になりかけて消える。
それからさらに一週間。
呼び出し時間が少しずつ伸びているんだろう、一瞬だけ着信画面が出るようになった。
ただし、取れるか取れないかの微妙なタイミングで切れる。
そして、ついにその日はやってきた。
スマホの画面とにらめっこしながら、23:30を待つ。
通話のタップ位置に指を構え、着信を待つ。
準備していた甲斐があって、ついに電話は繋がった。
若い女性のかすかな声「ともくん・・・ともくん・・・」
女:「痛いよぉ・・・迎えに来てよぉ・・・」
俺:「あの、多分間違い電話だと思いますけど・・・」
女:「・・・ともくんじゃないの?」
俺:「いや、違いますね。野村って言います」
女:「すいません・・・間違えました・・・」
それきり、夜の不在着信は無くなった。
それにしても、約三週間コールし続けたあの女性は、どんな状況だったんだろうか?