知り合いの話。
彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。
彼の祖父:「仲間と二人、よく使ってた狩り場に通じる細道を歩いてた時なんだけども。いきなりでっかい木が道を塞いでた。でもよ、そんなこと有る訳無えんだ。何度もそこを通ってるってのに、そんな大きな物が植わってりゃ牛でも覚えてら」
彼の祖父:「あぁ、これは何かあるんだろうなって話してよ、その日は引き返したんだ。他の狩り場にも行かなかった。アヤが付いた時の殺生は縁起が悪いから。二、三日してから再び行ってみたら、あの大木は綺麗さっぱりと消えてた。さてはあの奥で主がお産か何かしてたか、そんなことを仲間は言うとったな」
ヤバいと感じたモノには近よらないのが、生き延びる知恵の一つなのだそうだ。
彼の祖父:「まぁ知恵っつうか約束事っつうか、山でも街でも同じだろうけどよ」