世の中に存在する真の能力者

カテゴリー「不思議体験」

私が18歳の頃、M県のスナックで働いていた。
マスターとママと私だけしかいないカウンターだけの小さなスナック。

ある日お店に初老の夫婦がやってきた。
2人共小綺麗な感じで静かに飲んでいた。

私は別のお客さんに付いていた。
すると夫婦と会話していたママが私を呼んだ。

「初めまして」と挨拶をすると、奥さんが旦那さんを見ながらこう言った。

奥さん:「この人ね、あんまりこういう場所で女の子を呼んだりする人じゃないの。でもちょっとあなた気になるから。大事な話をするからよく聞いて。」

旦那さんは静かに話し始めた。
まず私の今の現状をつらつらと言い当てた。
まぁ小さな町だし知り得ない情報でもないな・・・そう思ったが、一応驚いたふりをしていた。

すると、「大事なのはここからだ。」と旦那さんは少し怖い表情になった。

旦那:「近いうちに彼氏とN市に行くことになるが絶対行ってはいけない。それとこの千円札に気を入れてあるから絶対使うんじゃない。使った途端、今の生活も周りも失う事になる」

私がその千円札を受け取ると、絶対使うんじゃないと念をおされ、夫婦は帰って行った。

見送りを済ませたマスターとママに「気にしなくていいよ。あの人ね、ここのオープンの時にこの店はママが外国人の彼氏ができて、それが原因で閉店する、なんて失礼なこと言う様な人なんだから」と言われた。

私もふ~んて感じでその夫婦の事も忘れかけていたある日、彼氏とN市に遊びに行く事になった。

N市へ続く山道で、ふと旦那さんの言葉を思い出し、少し胸騒ぎがしていた。
そしてN市に入った瞬間、対向車のトラックがこちらへ向かって来た。

幸い軽い事故で済んだが、その1ヶ月ぐらい経った頃。
給料日前のある日、お腹すいたなぁとお財布を見ると、隅っこにあの千円札が。
「まいっか」ぐらいのノリでお弁当を買った。

その後私は、旦那さんとの約束を破った事を激しく後悔する事になった。

まず彼氏の元カノが急にM県に戻って来て、彼氏とよりを戻した。
結婚前提だった事もあり、マンション、家具は全て彼氏が用意したものだった為、住むところさえ失った。

自暴自棄になった私は、地元の友人と都会に出ようという事になり、ある都市に向かった。

が、田舎者丸出しの私たちは、ヤクザの誘いにまんまと騙され、挙げ句の果て監禁された。

その後、警察や協力者のお陰で無事M県に戻れたのは1年後の事だった。

久しぶりにマスターとママに会いたくなり、当時スナックがあった街を訪れたが、もうそこにはお店もマスターもママもいなくなっていた。

街の人の話では、ママが外国人の彼氏と逃げて、お店もなくなったとの事だった。

長文ですみません。
以上です。

も一度あの旦那さんに会いたいです。

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