スピードを競い合う危険な遊び

カテゴリー「不思議体験」

近所に結構急な坂があってそれを自転車で駆け下りるのが子供の頃に流行ってた。
スピードを出せば出すほどヒーロー扱いで男子はもちろん活発な女子も参加してた。

私はいつも見物だけだったんだけど、男子に煽られて一回だけやったことがある。

最初坂のてっぺんから普通に下っていった。
したら、半分よりちょっと手前くらいで、こいでもないのに有り得ないほど加速して耳元で風を切る音でなくラジオに入る雑音のような音が聞こえ始めた。

私は怖くなってブレーキをかけたんだけどなぜか効かない。
坂の最後あたりになると事故ったら余裕で大怪我くらいのスピードは出てた。
そして耳元で聞こえたのが「死んじゃえ」とても低い大きな声だった。

私は恐怖を覚え自転車を蹴って道に身体を投げ捨てた。

目を覚ますと友達に囲まれて近くの公園にいた。
血は出てないし気絶してるだけだろう・・・と公園で休ませてくれたらしい。
あのスピードで身体を投げ捨てたんだから骨折は覚悟してたけど、何故かかすり傷一つなかった。

友達が見たことを教えてもらうと、私が普通に坂を降りて途中でパタリと転け動かなくなったらしい。

でも、わたしは覚えてる。
おかしいくらいのスピードとはっきり聞こえた「死んじゃえ」という声を。

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