霊であってくれた方がいい話

カテゴリー「不思議体験」

去年の夏、家の近所であった怖い体験。

俺は大通りから二つほど入った道の脇にあるマンションに住んでいる。

ある日の夜23時ごろ、コンビニに行く用事があって家を出た。
家の前の道は薄暗くて決して広くはないが、普段ならその時間でも駅の方角から歩いてくる人があんまり途絶えないような道。
でもなぜだかその時は人が全く歩いていなくて、変に静まり返っていた。
車は二台くらいは通り過ぎていたかな。

まあだからと言ってそれがなにということもなく普通にコンビニに向かっていたんだけど、高架下に向かって角を曲がった時に、遠くのほうから「ガラガラッ・・・ガラガラッ」と変な音が聞こえてきた。

周りが静かだっただけに、その音が妙に辺りに響き渡ってちょっと不気味な感じ。

で音がするほうを見ると、髪が長くて若い感じの女の人がスーツケースを引いて歩いていた。

100mほど先を俺と同じ方向に歩いていたので背中が見えている状況。
まあ遅い時間ではあったけど、それだけだったら別に変には思わなかった。

で違和感を感じたのは歩き方。
片足をすごく痛そうな感じで引きずって歩いていた。
足を引きずりつつスーツケースを引いているもんだから、「ガラガラッ・・・ガラガラッ」と断続的な音になっていたみたい。

正直気味は悪かったけど・・・。
もし困ってるんならなんか声かけてみようかな・・・?と思い、ちょっと足を速めて追いつこうとしたんだけど、(この時点でまだかなり距離はある)その瞬間その女の人がクルッと振り向いて、俺のほうに例の「ガラガラッ・・・ガラガラッ」という音を立てながら向かってきた。

その振り向き方も、明らかに俺に気付いて向かってたっていう感じ。

ぎょっとして一瞬全身に鳥肌がたったんだけど、さらに怖い思いをしたのはその次の瞬間。

女は目は大きく見開き、口を横にカッと開いて思いっきり笑っていた。
薄暗い上にまだ80m近く離れているにも関わらず、女の表情がはっきりと見えた。

視覚的に見えたというか、その女のイメージが目前にズームアップされたような感じ。
で耳元で「キェーーーーーーキェーーーーーー!!」と耳鳴りにも似た甲高い笑い声が聞こえてきた。

腰が砕けるかと思った。

そのまま方向を変えて別の道に入り、早歩きでその場を離れた。
怖くて何度も何度も後ろを振り向きながらコンビニに到着。
そこでやっと胸を撫で下ろした。

正直あれがただの頭がおかしい人なのか、霊的なものか分からないけど、あんな怖い思いはもうしたくない。

ちなみにコンビニからの帰り道も怖くて仕方なかったけど、人が多い道を選んで歩いたら全く出くわさなかった。

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