小5の時、兄貴と外でバスケしてたら市内放送がなった。
「○○市警察署からのお知らせです。○月○日の午後○時から○○町の男性が帰ってきていません。年齢は25歳、服装は・・・」っていう行方不明者のお知らせ。
兄貴がシッて指をして2人で黙って聞いてると、目の前の道路走ってたスーツ着た会社員風のお兄さんも自転車止めて放送を聞いてた。
「服装は黒いTシャツに黄色のパーカー、ジーパン、白いスニーカー、緑のリュック・・・」
(ここはうろ覚えだから適当)
放送後に兄貴が「25だって!ジジイじゃねえんだ!」と。
俺も「やばくね?!」なんて話してると会社員のお兄さんが「なあ?いいもん見せようか?」って言ってきた。
なになに?!って2人でお兄さんに近づくと、お兄さんは背負ってたリュックを開いて見せた。
中には洋服が綺麗に畳んで入ってた。
2人で?って顔してるとお兄さんが「よく見てみ、黒のTシャツに黄色のシャカシャカにジーパンだろ?」と。
兄貴が直ぐに気付き「あ!さっきの放送のと一緒だ」と言うとお兄さんは「誰にも言うなよ」って自転車で走って行ってしまった。
俺は服見ても何かよくわかんなくてお兄さんにバイバーイって手振った。
兄貴が呆然とお兄さんの後ろ姿見ながら「あ、リュックも一緒だ」って呟いたのが怖かった。
次の日の朝、続報があった。
見つかったらしい。
死んでたのが生きてたのか、あのお兄さんの持ってた服は何だったのか気になって友達とかに聞きまくってたら、母親がどっかから聞いてきたのか「この前の行方不明になった人見つかったんだってね。何か山で自殺しようとしてずっとウロウロしてたみたい」と父親に話してるのを聞いて、すかさず「服は?服着てたの?」って聞いたら「そりゃ着てるよ。黄色の目立つパーカー着てたから見つかったんだよ」って言った。
あのお兄さんなんだったんだろ。
たまたま同じの持ってたから見せてくれただけだったのかな。
あのお兄さん見たのもそれ一回だけだった。