盆栽サークルで知り合った爺さんからまた不思議な話を聞いたので投下。
爺さんがまだ山に入りたての頃の話。
獲物を探して山の中腹まで進んだ際に、二間四方位平らになっている場所に出た。
村から丁度良い距離で視界が良く、目印になる小高い杉の樹もある。
狩りの拠点として、そこで飯を食ったり、ひと休みしたりしていたそうだ。
ある時、休憩しながらなんとなく杉の樹を見つめていたら、樹の腹にある瘤がブルブルっと動いたように見えたらしい。
側に寄りじっくり見てみると、尖った小さい瘤の周りが盛り上がって、更に大きい瘤になっている・・・が、触っても突ついても、よく樹の腹にできる瘤に変わりは無く、その時はさして気にもせず狩りに向かったそうだ。
そこから5日位経ち、スカッと晴れたので、撃ちに行くかと早速例の場所へ向かった。
何となしに件の瘤が視界に入った所で「ええっ?」と驚き見直した。
明らかに5日前と比べ形が違っている。
尖った瘤の周りが一気に盛り上がって、額から鼻筋、口元、顎までの輪郭が形成され、もう誰が見ても「まるで人の顔が杉の樹の腹から出ようとしている」様にしか見えなくなっていたそうだ。
さしもの爺さんも気分が悪くなったが、突然むしゃくしゃしたのか、持っていた山伐でその瘤を頭から叩き割り、木っ端微塵にしてから普通に狩りを続けたそうな。