前のアパートは最上階に住んでたんだけどさ、安アパートならではでエレベータがなくて重い荷物とか大変だったわ。
確か8年位住んでた。
で、そのアパートで奇妙な奴がいて半年~一年に一回くらい屋上に登る階段に逆向きでしゃがんでるんだわ。
暫く小学5,6年くらいのガキが見てても微動だにしないんだわ。
一度はどうしたのか声かけてみようかと思ったんだけど、声を掛けようにも暗がりの方を向いて座ってるガキはそりゃあ気持ち悪くてよ。
出会うのは大抵休日の昼間。
でも屋上まで上がる階段は閉鎖的で昼間でもかなりうす暗かった。
一度、春先の寒い日の夕方に見た時は声が出たわ。
幽霊っぽくないってのがさ、まず格好はいつも時期に合う服装で夏場に厚着とか冬場にTシャツなんてことはなかった。
それと何回かその背丈格好の子とアパート別の場所であってんだわ。
なんだかんだで顔は見ずじまいだったな。
あえて積極的に小学生男子の顔を拝むなんてのも変だしね。
友達同士で男の子らしい声でゲームの話か何かしてた時もあった。
どちらの声かは分からんけどはつらつな男の子って感じ。
その当時は近所のガキが親に叱られてそこで反省でもしてるのかなと思ったけど。
でもさ、階段があったら試してもらいたいんだけど、階段に逆向きでつま先が上がる程度に前傾姿勢ってかなりキツイんだよね。
すぐにフラフラしちゃう。
あのガキはどうやって長時間微動だにしないなんて出来たんだろうな。
なーんて話をつい最近友達にしてたらさ「成長は?」って聞くんだわ。
あ、確かにその子の後ろ姿最後に見た時もやっぱり小学生くらいの子供だったわと思い出した。
そんな成長しない特殊なガキが8年間も近所にいたら分からんわけないし、今でもほんのり不思議だわ。