個人的には不思議な体験です。
小学生の低学年の頃、祖父母の家に泊まりに行った。
父親が夜中トイレに行った音で目が覚めた。
寝室は真っ暗でほとんど何も見えない状態だったけど、立ち小便の音がしたので父だと思っていた。
とても眠かったけど自分もトイレに行きたかったので、腕を伸ばして父に「起こして」と頼んだ。
「よっこいしょういち」と言って両手を父に引っ張ってもらって起き、用を足してまた眠った。
翌朝父にその事を聞くと、「夜中にトイレなんか行ってないぞ」と言う。
じゃあ誰が手を引っ張ってくれたんだ?と思ったけど、寝ぼけてたのかな?とか、死んだ曾祖父が起こしてくれた?とか、結局わからずじまいだった。
時が過ぎてそんなこと忘れていた。
先日息子を連れて祖父母の家に泊まりに行った。
夜中にトイレに行きたくなり、電気を豆球にした。
妻に似ていると言われる息子だが、寝顔はタンスの上に飾られている昔の僕の顔にそっくりで、自分を見るような気持ちになった。
トイレから帰ってきて電気を消すと、息子が「起こして」と言って腕を伸ばしている。
あっ、こんなこと昔あったなと思い、「よっこいしょういち」と言って腕を引っ張って起こしてあげた。
用を足した息子は戻ってきてすぐに眠りについた。
翌朝息子に昨晩のことを聞くと、「トイレになんかいってない」と言う。
寝ぼけてたんだなと思うが、息子の顔はいつもどおりに妻によく似ていた。
無根拠に何となくなんだけど、「よっこいしょういち」といって起こしてくれたのは他人ではなく、自分なんじゃないか?と思う。
偶然と言うか、なんと言うか、デジャブではないけど、不思議な体験でした。