物心ついてから結婚する直前まで自分が当たり前のように認識していた事があって、お風呂に長い時間入ってると溺れる、という事。
のぼせて意識を失う、とかの類いではなくてプールや海で足が下につかなくて『下に引っ張られて』慌てる時みたいな感じ。
今考えれば可笑しい話なんだけれど、あまりにも当たり前のことして認識していたから特に母親以外に話する訳でもなかった。
嫁(当時は彼女)と温泉旅行で混浴してる最中に自分がサッサと出ちゃうもんだから『何で?』『いや、溺れちゃうでしょ』みたいな流れから異常が発覚。
で、自分の認識がおかしいことに気がついたんだけど、現実問題何度か溺れた体験はあったし、先程書いたけどそれを聞いた母親はおかしいと思わなかったのか?と考え帰ってから問い詰めた。
するとなんと母親は号泣して土下座してきたのだ。
2歳くらいの出来事なので自分に記憶にはないんだが、当時父親の不倫で離婚した母は0歳の弟と自分の二人を見るのに疲れきっていたようで、そんな時にご飯ご飯と泣く俺を見て異様に鬱陶しくなったようでお風呂に閉じ込めたそうだ。
飲食を何も与えずに朝から閉じ込めて夜まで、最初のうちはずっと泣いていたらしいけど、途中から誰かと話すように一人で笑ったりブツブツ話をし始めたようで、運よくその日のうちに祖母が様子を見に来てくれたおかげで発覚。
しばらくの間自分は祖母に預けられていたらしい。(たしかに物心がついた時自分は祖母に育てられていた)
母親はその件が原因でお風呂がトラウマになって溺れるようになったのでは?と思って話を聞くたびずっと後悔していたらしい。
・・・いやちょっと待て、たしかに聞いた話も衝撃的だったけど俺は昔からお風呂が好きなんだが。
それより自分はいったい誰とその時話をしていたんだ?
今まで溺れていた経験が全て『ソレ』に風呂場で足を引っ張られたような気分になって恐ろしくなった。