その異臭は霊的なものだった?

カテゴリー「不思議体験」

つい昨日あったばかりの出来事。
長くなるのでごめんなさい。

仕事の関係で、4月頃から自宅とは別にマンションの一室を借りている。

私が生まれた年にできたそうで築年数は30年以上経っているけれど、内装は何から何までリフォームされていて理想的。

住人たちも、すれ違えば会釈程度はするし、管理組合もしっかりしていて共有部分もいつもきれい。

いつもは朝来て、仕事して夜8時頃帰るを繰り返しているんだけど、昨日はうまくはかどらなくて夜中の12時近くなってもグズグズしていた。

いつからその音がしてたのかわからないけど、玄関の外の廊下部分を誰かが紙をめくりながら歩いているような音がする。

ちなみに私は北の国に住んでいて、マンションの部屋はみんなホテルのように廊下を挟んで向い合った造りになっている。

だから部屋に続く扉を開放していると、玄関の外の話し声や足音もけっこう聞こえてくる。

もういい加減仕事を切り上げて帰りたかったけれど、なんとなく人がうろうろ歩き回っているところに出くわすのが面倒で足音がどこかに行ってしまうまでちょっと待ってから帰ろうと思った。

ところが、足音は10分経っても30分経っても去ろうとしない。
カサカサ紙をいじっているような音も続いている。

誰だろうとかこんな時間に何してんのかとさすがに気になって、だけどあからさまに玄関開けて顔を出すのも気が引けたのでのぞき穴から人影を探した。

でも誰も通らない。

玄関のドアは、生乾きのぞうきんで拭いたような不快な臭いがした。

今日は雨が降ってたから雑菌の臭いでも出てきたのかと思った。

うちの前を通らないにしても、足音は結構近くまで聞こえているので人影が見えてもいいはず。

別に誰かがいるのなんて気にしないでさっさと帰れば良いのだけど、こんな夜中に廊下をうろついているような人に、家を出る姿を見られるのはちょっとな、と警戒したんだ。

そんなこんなで一時間近く待った。

途中でずっと聞こえている足音に紛れて近くの玄関の鍵を開ける音がした。

扉を閉める音が聞こえた後も足音が消える気配はなかった。

もうさすがにうんざりしてきて、何度穴を覗いてみても誰も通らないし、のぞき穴に顔を近づけると嫌でも玄関扉の臭いが鼻をつく。

この時点で、私はオカルトの可能性をうっすら思いついてしまった。

ちょうど夫がこの日から休みを取っていたので、自宅から迎えに来てもらおうと電話をした。

迎えに来た夫が廊下に来れば、歩き回ってる人もどこかに行くかもしれない。
だが夫は電話に出なかった。

自宅に家電がないので携帯に何度もかけ直したがだめだった。

ラインも既読にならない。
もしかしたら既に寝てしまったかも知れない。

寝具もないし、このままここで夜を明かすのもいやだった。
思い切って身支度をして、部屋の戸締まりをして玄関を出た。

廊下にはあの生乾きのぞうきんのような臭いが充満していた。
そして廊下には一切の音がなく、誰もいなかった。

さすがに鳥肌たって一目散にチャリをこいで自宅に戻った。

自宅の玄関をあけると居間は明るく、夫は起きていて、普通にDVDを鑑賞していた。

おかえりと言うので、寝てたんじゃなかったの、電話なんで出てくれなかったのと聞くと、携帯は夫のすぐ側にあったにも関わらず聞こえなかったと言う。

着信履歴を見てもらうと、確かに私から何度も履歴があった。
おかしいのは、マナーモードやサイレント設定にしていないにも関わらず音が出なかったことである。

その場で私からもう一度リダイヤルしてみたが、やっぱり音が鳴らなかった。

夫も首をかしげつつ音量設定を見直した。
再度かけてみると、今度は音が鳴った。

ちなみに今朝来てみたら廊下は何も嫌な臭いがしない。
玄関扉も臭くない。

怖いと言うよりもなんだったの?という気持ちが大きい。

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