何かを物色する女

カテゴリー「不思議体験」

中学の時の話です。
遠足についての話し合いのために放課後に学級委員会が開かれて、各クラスの学級委員が集まりました。
各クラス男女二人づつで、始めのうちはまじめに話し合いをしていたんですが、次第に男子の方が飽きてきてしまいまして、まじめな会議は女子に任せて男子は校舎の2階を利用してかくれんぼを始めてしまいました。

僕もじゃんけんに勝って隠れる場所を探し、2年C組の教室に駆け込んで、掃除用具入れに入りました
扉に数ミリの隙間があって、そこから外を覗けました。

しばらくすると、教室の戸が開いて、体育着の女の子が二人入ってきました。
一人は名前忘れましたが、もう一人は全校でアイドル的存在だった朋子ちゃんでした。
部活が終わったところらしく、二人はおしゃべりをしながら着替え始めてしまいました。

今思うとなんてもったいないことをしたんだと悔やまれるんですが、若く純情な僕には、偶然とはいえとても覗きなんてできず、扉の隙間から目を離し、二人の話し声が教室の外へ出て行くのをひたすら待ちました。
そして二人が教室から出て行くのを確認してから、再び隙間に目を当てました。
すると・・・そこに制服姿の女子が居ました。

まだ教室に居たのかと一瞬思ったんですが、さっきの二人ではありませんでした。
それどころか、どうも、見たことの無い顔のようでした。
制服が同じなので他校の生徒ではなく、ネームプレートも同じ学年の色でした。

それほど生徒数の多くない学校だったので、知らない同級生がいるとはどうしても思えませんでした。

学年に非登校の生徒がいるという話もありませんでした。
見ていると、なにやらぼそぼそと独り言を言いながら一つ一つの机の中を何かを探しているかのように順番に物色していました。

やがて掃除用具入れの目の前で隙間をふさぐようにしてしばらく立ち止まりました。

すると突然「内緒だからね」と彼女はささやくように言って教室から出て行きました。

それきりその女子生徒の姿を見ることはありませんでした。

二人の同級生の女子が着替えていた手前もあって、今まで誰にもしゃべったことがありません。
卒業して十数年たった今、インターネットという匿名性の環境のおかげでこうしてお話できて、少しすっきりしました。

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