友情の結末

カテゴリー「不思議体験」

サッカー部にいたY君の話です。

Y君はある夜、誰もいない校庭で一人練習をしていましたが、ミスしてしまい、明かりのない方へボールを蹴ってしまったそうです。
Y君は暗がりの方へ向かいました。
すると闇の中からポーンポーンとボールを蹴る音がしてきました。
そして、ずたずたと地面を蹴る音。
それは真っ直ぐこちらへ向かってきました。
言いしれぬ恐怖を感じたY君はその場で立ちつくしてしまいました。

やがて、薄明かりの中に浮かんできたのはボールを突く2本の足でした。
足は絶妙なドリブルと足さばきでY君を追い抜き、シュートを決めました。
ボランチで活躍するエースのY君は対抗意識を燃やし、足相手に果敢に攻め込みました。

試合を繰り返すうちにY君と足の間には不思議な友情が生まれました。
この真夜中の試合は夜な夜な行われ、1人と2足はその間夢を語り合ったり、足で○×ゲームをやったり楽しく過ごしました。

そんなある日です。
Y君は転校する事になり、そのことを足に告げました。
足は驚き、聞いていないとばかりにすくみ上がると、そのままにどこかへ行ってしまいました。

Y君:「まてよ、足!」

Y君が言うのも聞かず、足は彼方へ。

引っ越しの当日、Y君は落ち込んだ様子で車の後部座席に座っていました。
すると、突然母親が叫びます。

母親:「何なのあれは!」

ふと、後ろを振り返ると、後ろからあの足が追いかけてきました!

一生懸命追いかけてくる足・・・。
Y君は泣きながら叫びました・・・。

Y君:「足!引っ越してもお前の事忘れないからなー!」

その時です。
車を運転する父は、バックミラーに映った足を見て気が動転してしまい、対向車線に飛び出してしまいました。

一家は4tトラックにぶつかり全員即死。
Y君の遺体は奇しくも足がぐちゃぐちゃに潰れきっていたとらしい。

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