自分の姿を見てしまうと死ぬ?

カテゴリー「不思議体験」

2年前くらいだったと思うが、晩秋の八ヶ岳に行ったとき。

前方から、ニッカ履いてキスリング背負った若者が歩いてきた。
俺たちは2人。
もういい歳だ。
すれ違う前から、俺たちは小声で、「すげえよ。昔の格好じゃん。」と囁きあってた。

近づいてきてよく見たら、時代錯誤もいいところ・・・。
上からボーイスカウトがかぶるような帽子、黒縁眼鏡、チェック柄のウールシャツ、ウールニッカ、チェックの靴下、そして革の登山靴・・・。

そいつは俺らよりずっと若い・・・。
20代後半といったところ・・・。

俺たちは、すれ違いざま、「こんにちは!」と普段通りに挨拶。
そしたら、その若者、「こんちわ~元気はつらつオロナミンC!うれしくて眼鏡落ちちゃった・・・」と言ってすれ違っていった・・・。
そのときは何も思いもせず、そのまま登山を続けた。

そして夜。
テントで酒飲んでて、いきなり連れが泣き出した。

連れ:「おまえ、昼間すれ違ったレトロっぽい登山者覚えてるか?俺もさ、すれ違ったときは不思議な感じがしただけだったんだけどさ・・・。よく考えたら、あれ、俺だ。」

そう言い、また泣いた・・・。

俺が詳しく話せと言うと、「あれはどう見ても、俺の40年前だ。俺自身だ。」と言う。

俺は、「そりゃそうだ。40年前は、みんなあの格好で登山してたんだから。」と言うと、彼は、「違う違う。あの人の着てた青いウールシャツ、あれ、俺のだよ。お袋からのプレゼントで、俺が一番嬉しかったプレゼントなんだ。お袋が死んだときに、お棺に入れた物だよ。そして、彼が言ってたセリフ、俺も冗談でよく言ってたんだ。」と言いだし、俺も絶句。

そして彼は、続けて、「俺も若い頃の自分自身を見てしまったからには、もう死ぬのかなぁ。」なんて気弱なことを言い出した。

でも、彼はまだ生きてる。

あれは本当に彼自身だったのだろうか。
俺は20代後半の彼を知らないが、似ていると言えば似てる。

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