オルゴールを仕込んだぬいぐるみってあるじゃん?
それが俺の家に昔からあったんだよね、くまちゃんの奴。
いつの頃のものか、誰のものなのかもはっきりしないんだけど、ばあちゃんのいつも使ってた茶の間に飾ってあった。
俺が小学生になったばかり頃、その日僕は夜更かししてドラゴンボールの単行本を読んでた。
いつもは10時には寝ないと怒られるんだけど、その時は12時まで読んでた。
物語がセル編に突入して、「謎の生物怖いわぁ!」なんて思ってたら、オルゴールの音が聞こえてきた。
そう、あのぬいぐるみのオルゴール。
びっくりして硬直!!!
だってその音、俺の部屋のクローゼットの中から聞こえるんだもん。
「え?なんで?」
「どうして?」
「しかもこんな時間に?」
ばあちゃんの部屋にいつも置いてあるのに・・・おかしい。
僕は恐ろしくなり布団をかぶった!
「お願い、早く音止まって!」
凄く怖くてクローゼットの中を見てみようとも思わない。
そこに何かいたらなんて思うと怖くて涙が出てきた。
でも全然オルゴールが止まらない。
「どうしよう・・・どうしよう・・・」
キィと、クローゼットの開く音がした。
「やばいなんか絶対に出てきたぁぁぁぁ」
心臓がバクバクいってる。
もうこうなったらそいつが布団の中にいる俺に気付かないよう、必死に息を潜めるしかないと思い、本気で目を瞑り震える手で布団をキツく握り締めた。
「お父さんお母さん助けて、早く来て!」
嗚咽を殺し泣きながら布団の中でずっと助けを求め続けながら気を失ってしまった。
「こら、いつまで寝てるの!ご飯早く食べなさい!」
お母さんが起こしに来て寝ぼけながら適当に返事をして起きる。
目を覚ました瞬間、昨夜の事を思い出してしまった。
俺は急に泣き出しお母さんに抱きついた。
そしてあの事を話すと「怖い夢を見ただけ」と笑われた。
それでもお母さんはその時いつもより優しかった。
その優しさが返って変だった。
クローゼットをお母さんに見てもらったが、いつもどおり空っぽだった。
あのオルゴールのぬいぐるみもいつもの茶の間に置いてあった。
でも変なんだ、空っぽのクローゼットなんていつも絶対開けないのに、あの時お母さんが中を見た時、開いたままだったんだ。
それから3年ほどして家も新築し、あの頃の部屋はなくなった。
俺がこの話を思い出して、あのぬいぐるみの事を聞くと母親は「あーそんなのもあったねぇ、引越しの時に多分捨てたんじゃない?」との事。
しかし、気になることを言ってた。
「何いってんの、前のあんたの部屋にクローゼットなんて無かったでしょ」
俺はあのクローゼットがあったことを間違いなく覚えている。
子供の記憶を侮って嘘をついているのは明白。
はあちゃんに由来する事だと思うが、色々調べてわかったらまた報告します。