俺が小学5年の時、家族で川に行ったんよ。
でもいつもと違って人がほとんど居なくてラッキーって思ってた。
川は深さもそこそこで4m超えの所とかもある。
橋の根元(脚)はもっと深くて流れも早く、お気に入りスポットだった。
潜って石を拾おうとしてたら上流からなんかヤな感じが・・・。
1mくらいの黒いモシャモシャした塊がゆっくり接近してたんだけど、畑とかの黒いビニール(上流に畑がいっぱいある)が流れて来たんだろうと思った。
そのまま気にせず石拾い再開。
何回か往復して次を最後にしようとまた潜って、浮上しようとした時、何かがぶつかってきた。
見ると黒いモシャモシャした塊、さっき見た塊。
でも何十分も前のこと。
流れは良い川なんで、「たくさん流れて来るな~」って思った。
んで、どかそうと手を伸ばしても離れない。
蹴ろうとしたら手応え無し。
流石に恐くなって水面に上がろとしたら急に体と足を引っ張られた。
振り向いたらモシャモシャから灰色の異様に長い手が何本も延びて俺を掴んでた。
もうパニクってがむしゃらに暴れた!
苦しくて苦しくて、「もう死んじゃうのかな~」って思ってた。
そしたらモシャモシャが急にギュッと縮まって掴んでた手が溶けるみたいにばらばらになって、本体(?)がもわっと溶けて流れた。
その時、「もう大丈夫だよ・・・苦しかったね・・・」って若い女の人の声がしたと思ったらふわっと後ろから抱かれた感じがした。
横を見たら頭巾みたいなのを被った白い女の人が優しく笑ってた。
顔の左側が火傷みたいになってたけど不思議と怖くなかった。
それにまだ水の中なのに苦しさも無くなってた。
見とれてたらそのまま浅瀬に連れて行ってくれて、岸部に仰向けに寝転んだ。
「もう大丈夫だよ・・・苦しかったね・・・」ってもう一度聞こえたからお礼しなくちゃって思い「ありがとうお姉ちゃん」って言って振り返ったらもう居なかった。
近くに人も居なかった。
親に話してもそんな人は見てないって、一緒に探したけどやっぱり居なかった。
今思うと亡くなった人が助けてくれたのかな~って思う。
毎年この時期になったらありがとう言いに行ってます。
あの黒いモシャモシャは一体何なのかは不明・・・。
すぐ消えたけど足と背中に手形がついてました。