この話はちょっと微妙なラインの話であるし、あまり話していい事ではないです。
場所はC共和国の北部山岳地。
ちょっとした事情で地元の軍隊の小隊を訓練する為にアドバイザとして参加してました。
というのは表向き・・・。
実際はアドバイザ兼小隊指揮を取らされてゲリラ潜伏地帯への偵察をやっていました。
あっちの地方のゲリラってのは山岳地帯にキャンプ張っている事が多くてそこで麻薬を作ったりもしてます。
しかし、そこの位置が問題でして、かなり国境に近い位置に張ってます。
だから偵察に行く前に会議をして戦う為の決まり事、っていうのを聞かされました。
A地点(仮)に行くまでは、絶対に発砲してはならないってのが主旨。
もともと政府とゲリラの癒着が激しいので会社と一部の官僚が談合したこっそりやらないと行けない仕事だったので、下手に不正規の撃ち合いを国境近くでやって刺激したくなかったようです。
で、まぁ目的地まで徒歩で4時間くらいのところでトラックからおろしてもらって鉄砲もってこっそりこっそり夜の山の中を進んでいった訳ですが、その途中でみんなが不審な声が聞こえると言い出した訳ですね。
向こうの言葉で、大体の意味としては「死ね」とか「死んだ」とか、そういった言葉とか、「ひどい」とか。
こちらとしてはとても困ります。
敵側の偵察か、もしくは他の勢力か?撃ったらまずいし・・・でも防御はしないといけません。
とりあえず全員氷のように固まって隠れました。
するとしばらくするとガサガサ・・・と、何か近づいてくるんですね。
同時に「撃った」とか「殺す」とか、そういう言葉も近づいてくる。
年とった人によく見られる言葉でした。
コンタクト、ですね。
ほぼ全員がその「何か」に銃を向けて隠れて固まってました。
すると出て来たのは角が生えてる巨大なイノシシ?でした。
暗視ゴーグル越しだったのでやけに目が爛々としてたのをよく覚えてます。
山にこんなんいるのんか?
そう誰もが思ったと思います。
しっかも角がやたらとでかい。
みんな声もださず固まってると、「違うな」と、そのイノシシ?が言ってまた山の中に帰っていきました。
なんでイノシシがしゃべるのか?
それはわからないけれど、しわがれたじいさま見たいな声でした。
イノシシは我々の進行方向に帰っていったので、我々はその後を付ける形になったのですが、進んでいくと地図にはないキャンプか集落?のような物があり、10数体の骸骨が転がってました。
多分、ゲリラの戦死体だと思いますが、その中に明らかにおかしい物がありました。
牛か何か?(私の推測ではさっきのイノシシだと思いますが)の白骨体がありました。
明らかに爆弾や弾丸で殺された死体です。
角に突き刺さった人間の白骨死体もありました。
なんか見た感じその牛かなにかとゲリラが戦った後の様にも見えなくもない様な・・・。
結局の所撃ち合いもなかったし、平和な仕事でしたが、当時私が面倒を見た小隊の人々は、未だにあの事はよくわからないと言ってます。
報告書にも単純に「XXXXXX近くでゲリラの白骨体と動物の白骨体を確認」と書いただけですし。
もののけ姫のアレ・・・というには似てなかったですが。
仕事場が自然の中でも山ではよくわからん事も多いです。