カッターで刻む

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

俺が大阪で体験した話。

私は当時大阪の難波付近の居酒屋でバイトをしていました。
一人暮らしをしながらバイトをして、大学に通う訳ではなくまあぷータローしてました。
その居酒屋には私の好みにはまる女がいて、私より先にそこで働いていて初めて見た時から「いいな~」なんて思いながらチャンスがあれば彼女にできんかなぁと・・・若かったですw

ある日店が暇だったので早く帰りたいやつ帰っていいぞと店長。
その日はなんとなく帰りたかったので私は店長に「俺帰っていいすか?」と申し出たところ、もちろんOKだったのですが、一緒に例の女(Kとしますねw)も早上がりをするみたいでした。

チャンスと思い、店を出てすぐに声を掛けた。

私:「よかったら今日飲みに行かない」

K:「う~ん、そだね暇だしいいよ」

心の中で狂喜乱舞!Kの家の近くで飲むことに。

あ~でもないやらこ~でもないやら・・・・まあ他愛の無い話をしながら酔いは確実に回っていた。

私:「今からどーする?カラオケでもいく?」

K:「んーそだねぇ」

私:「んじゃあどっかで飲み直しすっかw」

K:「いいよーwつよいねぇwじゃあ私の部屋でのもっかー」

男なら誰しも一度は聞きたい言葉!

その後店を出てコンビニで酒やら菓子を買いこみKの部屋へ。
酔ってはいたものの私の思いは強く、その日告白をして無事OKをもらいました。

私はあまり頻繁に彼女を作るタイプではなかったので、久しぶりの交際に毎日が楽しかったのを覚えています

ただ・・・。

付き合って何週間かした後に私とKは体の関係を持つようになり、もちろん付き合っているのだから定期的にセクロスはするわけなんだが、Kの癖が噛むんですよ・・・。

初めはそこまで気にしていなかったんですが、日に日に私の体は傷だらけになっていきました。
そう・・・・かなり容赦なく噛むんですよ。

さすがにシャワーが苦痛になってきた時に私はこれは辞めてもらわないかんな・・・と思い、次Kと会う時にはっきり言おうと思っていました。

次の日にバイトが終わってKの家に行きました。
飲みながらワイワイやっていたのですが、ちゃんと言わなければと思い私は言いました。

私:「あのな、Kってさ噛む癖あるよな?これすっげー痛いんだぜ。みてみこれ、シャワーも辛いよ」

K:「うん」

私:「だからさ、軽くならいいからもうちょいなんとかしてくれんかな?これじゃ体がもたんわw」

そのときKは少し暗い表情をしながらただ「うん」と言っていました。

その日は疲れと、Kの部屋で飲んだこともありお泊りすることにして一緒に寝てました。

疲れと酔いですぐに私は眠っていました。
何時間位寝ていたのでしょう。
腕がズキッズキッとするのとなにかブツブツと声がするので目が覚めました。

「・・・・い・・・・ない・・・・まない・・・・・・。」
「・・・・ない・・・・・かま・・・・・い・・・・・かまない・・・・・。」

噛まない?

その瞬間腕がまたズキッとしました。
目が覚めつつあったので痛みがしっかりと伝わってきました。
ただ暗いのでよくわからない、痛む腕とは逆で電気のひもを引っ張りました。

豆電球の薄暗い光の中に私の腕をカッターで刻むKの姿が・・・。

「かまない・・・・・かまない・・・・かまない・・・・・・。」

完全にうつろな目をしたKに私はただならぬ恐怖を覚え「逃げろ!逃げろ!」と頭で叫んでいました。
カッターでさらに私の腕を刻もうとするKを突き飛ばし、私は着のみ着のままでドアまで走りノブに手をかける。

ガチャ・・・・ガチャーーーン!

チェーンがかかっている・・・・。

ふと振り返ると「かまない・・・・・かまない・・・・・」と、カッターを手に・・・・・呟きながら・・・・・Kが向かってきていました。

私は恐怖に半ばパニックになりそうなのを必死で抑え、なんとかチェーンをはずして彼女の家から走って逃げ出しました。

怖くて、何が起きたかも整理できず、ただただひたすら地下鉄で3駅ほどの距離があった自宅へ向かって走っていました。
自宅近くのコンビニの前でようやく頭が冷静さを取り戻し、少し落ち着いて一服しようと思いコンビニでタバコを買おうと入り店員に煙草を頼むのですが・・・・・店員が明らかに怪訝な顔で私を見ていました。

そりゃTシャツで腕から血を流している男が息を乱して煙草を買う。
普通じゃないですよねw

煙草を吸いながら腕の傷を確認すると、皮一枚を刻んでいた感じで出血も治まってきていました。

一体何だったのか・・・・・。

とにかく意味がわかるわけもありません。
煙草を2本、3本と吸い、とにかく家に帰る事にしました。

家(当時アパートに一人暮らしでした)へと向う道角を曲がりアパートが見えました

階段を一人の女が上って行く・・・・・。
そう・・・・・彼女は・・・・・私の家を知っていたのです。

私は恐怖を抑えながら彼女をそっと影から見ていました。

カァン・・・カァン・・・カァン・・・・。

階段を上り、2階の私の部屋の前へ立つK。
ドアノブに手をやり、手には鍵。

!!なんで!!

ポケットを探ると鍵が無い!
Kの部屋に落とした・・・・・。

鍵を開け、鞄からカッターを出し、私の部屋に入るK・・・。

私は恐怖に震えました。

結局この時点でコンビニへ戻り電話を借りて警察に通報しました。
警察に連れられて私の部屋から連れ出される虚ろな目をしたKを今でも思い出すとゾッとします。

後日、警察とKの家族と話をし、今後私と一切かかわりを持たないと一筆を交えることで、私はそれ以上は何もしませんでした。

それでもやはり毎日が不気味で恐ろしく、私は実家へと帰ることにしました。

一体Kはなんだったのでしょうか。
私の今でもトラウマがのこる体験談です。

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