今から十数年前、俺がまだ小学生だった頃の話。
当時住んでた所はそりゃもうド田舎で、家の周りは田んぼだらけだった。
何年生の時だったかは忘れたけど、夏休みももう終わりの頃。
時間でいうと夜6時半~7時くらいだったのかなぁ。
田舎に住んでる奴ならわかると思うんだけど、空がちょうど赤みがかって来る時って何故か妙に寂しくなるんだよな。
その日は風も強くて、俺は一人で遊んでたから急に心細くなった。
聞こえるのは風の音だけ、周りを見渡しても誰もいない。
その時だよ、そいつを見つけたのは。
俺は田んぼ道にポツンと立ってた、そいつは遠くのほうで同じようにポツンと立ってた。
でも、なんか変なの。
何かおかしい。
腕が長いのよ、そいつ。
風が止まった気がした。
同時にそいつがこっちに向かって走ってきた・・・ように見えた・・・。
俺は全力でその場から走り出した!
今まで生きてきてあの時が一番本気で走ったろうな。
絶対に振り向いてはいけない!
とにかく家を目指して走った。
なんとか家にたどりついた俺は、大泣きしながら爺ちゃんにしがみついたらしい。
あれから数十年、今では年に数回しか帰らない田舎でみた何か。
一体あれは何だったのか、今でも不思議に思うが、ひょっとしてあれが有名な「くねくね」ってやつかもしれない・・・。