俺は廃墟や心霊スポットに巡るのが好き。
彼女はあまり好きではないんだけど、マヤカンからの夜景が綺麗すぎるという話をしたら見たがったんで、マヤカンで夜更かしという計画を去年の夏に決行したんだ。
マヤカンは心霊スポットでもあるということは彼女には隠してたw
※マヤカンとは「旧摩耶観光ホテル-マヤカン」
夕方のうちに山道に入って暗くなる前にマヤカンに到着した。
時間は19時くらいだったと思う。
とりあえずまだ日があるので中を見学して暮れてから屋上に用意していたシートを敷いてしばしイチャイチャして少し仮眠。
心霊スポットともあってビビってたのか変な夢を見た。
マヤカンの地下を歩いてると鉄の扉の部屋から中年くらいの女の人の手がぬうと出てきた。
指先に真っ赤なマニュキュアを塗ってる。
怖くなった俺は扉を強引にぐいぐい閉めたんだ。
いつの間にかシーンは鉄の扉は和室の引き戸になってて、戸の先の部屋は襖になってた。
差し込まれる手を引き戸で押さえつけてる。
そうするとその手がおいでおいでをしてる。
それを見て、恐怖した。
だがこの状況どっかで前に一度体験したことがある。
自分のトラウマを再現してるように感じたんだ。
で、ハッと目覚めると23時くらい。
ちょうどいい時間、眼下を眺めると夜景はとても綺麗だった。
少し肌寒くなってきたのでダウンを着て隣を見ると、彼女はまだ寝てた。
タバコを一服してから起こしてやると彼女夜景を喜んでたね。
でも、一時間もすると飽きちゃって少し肌寒いし帰ろうかって話になる。
でも暗闇の中道なき道を戻る勇気がない、迷ったらいくら小さな摩耶山でも遭難しかねない。
どうしようかと悩んでると地元の若者だろうか学生の4人組が肝試しに来たんで合流して夜のうちに無事下山した。
学生の雰囲気になんとなく感づいてた彼女に心霊スポットと言うことを明かし、しこたま怒られた後に彼女に夢の話をしたんだ。
そうしたら、彼女は少し青ざめながらそれは私の経験だって言うんだ。
彼女の亡くなった祖母は彼女が小さい頃にボケたみたいで自分自身を彼女と同じ年くらいの子供だと思い込んでたみたい。
両親と祖父母の家に行くと、祖母から遊ぼうとよくせがまれた。
そんな祖母が気味悪くて嫌がった彼女はある時、隠れんぼしてる時に祖母がいつも必ず隠れる襖を抑えつけて出られないようにしてしまったみたいだ。
奥から祖母の開けてと懇願して泣く声が聞こえても大人が来るまでずーと押さえつけてたという。
ボケてしまったとはいえ祖母をイジメるという行為、それがトラウマになってるとの事だった。
俺は彼女からその話を初めて聞いたが、まさにそっくりの場面に驚くとともに疑問も湧く。
でもその手は老婆でもなければ子供と思い込んでる人がマニュキュアなんて塗らないよなあと思うと偶然だったのかもしれない。
ちなみに後でいくら思い返しても自分の実体験にそんな経験はないんだよね。