これは新潟県の苗場にスキーをに行った時の話である。
去年の12月29日、俺と友人の浦田と梶川の三人でスキー場に向かって車を走らせていた。
8時間ほど車を走らせて、やっと苗場まで来た。
山道を走っていると長いカーブに差し掛かかったその時である、車が止まった。
「エンストか?」と思ったが、どうやらエンジンは止まってない。
タイヤがパンクしたのかと思い、車を降り確認したがパンクもしてなければ溝にはまったということもない。
「おかしいな。どうしようかな」と浦田と梶川に意見を求めた。
浦田はとりあえず用を足したいと言いながら、道端の方に歩いていった。
残った梶川と話し合った結果、とりあえず車の中で待とう、ということになった。
それよりも浦田が戻って来ない。
もう20分以上経っている。
俺は梶川を残し浦田を捜しに行った。
「おーい!浦田!どこだ?」
その時、遠くの方から微かに返事があった。
俺は声のする方へ歩いて行った。
すると何か大きな建物みたいなところに浦田はいた。
「つるに絡まって動けないんだよ」と浦田は言った。
携帯の明かり照らすなり俺はその場に座り込んだ。
それはつるでは無く無数の人の手だった。
俺は浦田の手を引きその場から逃げた。
息を荒げる俺をよそめに浦田はキョトンとしている。
浦田は人の手に掴まれていたことに気付いてなかった。
俺はこの事は言わず車に向かった。
その時である。
携帯が鳴った。
梶川からである。
「俺、先行くわ」
「何でだよ!」
「みんな待ってるから」
「は?意味分かんねぇよ!ちょっと待てよ!今、浦田と一緒に行くから」
ツーツーツー
電話が切れた。
俺は道路に出て車を捜した。
するとスキー場とは逆方向に走る俺たちの車を見た。
それを見て私はさらに驚愕した。
遠目だが明らかに梶川の他に三人乗っていた「梶川どこ行ったんだ」
浦田は言った。
さらに「俺も戻るわ」と言ってまたあの建物に向かって歩きだした。
すると一台の車がやってきた。
車から運転手が顔を出して言った「あのー、もしかしてこの人の連れの方ですか?」
助手席に乗っていたのは梶川だった「来る途中、ガードレールにぶつかってる車があって、中見たら、気絶してたみたいなんで」
私は気を失った梶川を引き取り、俺たちの車まで担いでいった。
車に着くと梶川も目を覚ました「え?ここは?」
梶川は状況を飲み込めないでいた。
梶川は俺が浦田を捜しに行った後、眠ってしまったと言う。
俺が見たことを二人には話していない。
そして正確には浦田は今、話せない状態にある。
あの時、梶川のことでいっぱいだったため「俺も戻るわ」
と言った浦田を引き止める事を忘れていた。
建物の入り口の前で倒れていた浦田。
そして浦田はそれがきっかけが精神に異常をきたし今でも通院を余儀なくされている。
そして浦田の体には無数の手の後が今でも残っている
※後で聞いた話によると、その建物はいわく付きの場所だったらしい。
遊び半分で行かないように。
後、この場所を通るとたまに幽霊が車に乗り込んでくるらしいので決して話しかけないように・・・だそうだ。