
僕が以前住んでいたアパートの話なんですが、僕が引っ越すきっかけとなった出来事です。
僕のアパートは山の中のかなり古い二階建てのアパートでした。
もちろんトイレは共同で、風呂なんか付いてません。
僕の部屋は二階の一番奥の角部屋でした。
窓からの眺めも悪く、っていうか外は森みたいな雑木林で、昼間でも日当たりは悪かったです。
僕の部屋は大学から近くて、よく溜まり場みたいな感じになっていました。
その日も普通にサークルの友達が来ててゲームとか麻雀してたんですが、夜遅くなってしまい友人A(男)とB子(女)とC子(女)は、僕の部屋に泊まることになったんです。
まぁ次の日は休みだしいいかなと。
そのまま大体2時くらいまで麻雀とかしてましたが、ちょっと飽きてきたのかB子が「肝試しでも行く?」と言ってきました。
僕もオカ板来るくらいのオカルト好きなので即OK。
Aも乗ってきて、残りはC子なんですが、彼女はいわゆる天然キャラで「私霊感あるからあんまり行きたくない」と、あんまり乗り気じゃなかった。
結局、夏の風物詩ってことで半ば強制的に連れてく事にしました。
肝試しの場所は僕のアパートの裏、森の入り口って感じの獣道があり、その奥はどうなってるのか行ってみる事にした。
興味はあっても全員びびりなので4人で一緒に行くことにした。
ライトは一つしかなく、先頭の僕がライトを持ち僕の肩に捕まるように、僕・B子・A・C子という感じで前の人の肩を持って獣道を歩いていました。
実はこの森、僕のアパートと逆の方から行くと頂上には古い神社があります。
皆はこの事を知らなくて、「森を歩いてたらいきなり神社に着いたら驚くかな」と思い、僕はあえて皆には言いませんでした。
夜行くと獣道ってものすごく分かりずらくて、何回も道を見失いそうになったが僕はさりげなく皆を神社方面に誘導しました。
僕のアパートから神社までそう遠くはなく、多分歩いて10分くらいだと思う。
もうすぐ頂上に着くかなと思い、僕はみんなの驚く顔を楽しみにしました。
「ストップ!ちょっと待って!」いきなりAは叫びました。
みんなサッと後ろを振り向き、「えっ?なに!?」
A「C子がいないんだけど!」
僕「はぁ?お前の肩持ってたんじゃないの?」
A「(C子が)手ぇ離したと思って後ろ向いたらいねーんだよ!」
B子「えっ!?それってマジやばくない!?」
僕たちはC子の名前を呼びながら森から出ることにしました。
森の中でC子は見つかりませんでした。
僕たちはアパートの前まで戻り、かなり焦りながらどうするか決めました。
結局、僕とAがもう一度山に入り、B子は僕の部屋で待機という感じになった。
僕とAは再び森の入り口に来て、いざっ・・て時にAの携帯が鳴りました。
B子です。
C子が僕の部屋の前にうずくまってるとの事。
僕とAは胸を撫で下ろし、アパートに戻りました。
部屋の前でC子が泣いていて、それをB子が慰めていた。
とりあえず部屋の鍵を開け、C子が泣き止むのを待ちました。
C子は「ごめんね、ごめんね」と呟きながら部屋の隅でうずくまっていた。
10分程してやっとC子は泣き止みました。
「なぁ、途中で帰るのはいいけど、せめて何か言ってくれよ」
Aは少しイラついた様子でC子に言った。
C子「ごめん・・・、・・・でも私ちゃんと戻るって、言ったよ・・・」
A「聞こえなかったら意味ないでしょ」
C子「私・・・大きい声で・・・言ったのに・・・、それに」
C子「私、森には入ってないよ・・・」
僕達は背筋がゾッとしました。
A「・・・はっ、何言ってるの・・・?オレの肩ずっと持ってたじゃん!!」
C子「森に入る前・・・に嫌な感じがして・・・それで入るのやめたの・・・」
B子「ちょっと、もうやめてよ!!」
B子が突然キレて会話は途切れました。
気まずい雰囲気が続き、結局そのまま寝て、次の日みんなは帰宅しました。
その日、Aから電話が来ました。
もちろん昨日の事に関してです。
A「なぁ、昨日の事どう思う?」
僕「さぁな?一瞬びびったけど、どうせどっちか嘘ついてんだろ?」
A「いや、オレは嘘ついてねえよ」
確かにAは意味の無い嘘はつかないやつだった。
A「・・・・、あのな・・・オレ森の中で一度だけ後ろを見たんだ・・・その時C子は確かにいた。けどな・・・」