二つの目

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

私は保育園の先生をしてるんだけど、今さっき、今日お休みした子供の所に、手紙届けて来たんだよね。

その子の家は、超田舎町の古臭い集合住宅。

そしたら留守みたいでさ、電気もついてなくて、車も無い。
仕方無く郵便受けの所に手紙突っ込んで、「はぁやれやれ」と自分の車に乗り込もうとした。
その時、ふっと目線をその子の家の、部屋の窓に向けたんだよね。

古い住宅だから、カーテンじゃなく、障子の窓。
でもって、ちょっと障子が破れている。
「あー、◯◯ちゃんが破ったんだろうなぁ」って思いながら破れた所を何の気無しに見た。

・・・すーっと血の気が引いた。

破れた所から、じっとこっちを見ている二つの目。
私の車のヘッドライトに照らされながら、瞬きもせずこっちを見ている。

子供じゃない。
お母さんでもない。
おばあちゃん・・・?
この子の家におばあちゃん居たっけ・・・?

私は即座に視線をそらして、車に乗り込んで、エンジンをかけた。
その時、突然にその部屋の電気がぱっとついた。

ひぇぇ~!と思いながらそのまんま振り返りもせず、車を発進させた。
辛うじてバックミラーに見えたのは、障子に手をかけ、ガタガタと開けようとしてた黒い影。

あー、怖かった。

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