22歳の時に突然の自殺

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

中学の同級生だったK。
男子には無害、かわいい女の子には優しいが、ブスには「そこまで言うか」と言う位きつい奴だった。
実際、面と向かって「ブス」「キモい」「死ね」「○○菌」などと言ったり、大げさによけたり、泣くまでブスだキモいだと責めたり、修学旅行の集合写真からブスの写真を切り抜き、ごみ箱に捨て2階の窓から消しゴムをぶつける、ほうきで足を引っかけるなどなど、ちょっと思い出すだけでも本当にひどい事をしてた。

簡単に言えば要するに”ブス専門のいじめっ子”。
Kは自分に自信があったようだけども、実際は大した事は無い。
色白でぽっちゃりしてて、背も低いしかっこいいとはお世辞にも言えなかった。
で、このKの好きな子がHだったんだけども、告白してフラれた。

Hは美人で成績優秀、何をやらせてもそつなくこなす、クラスに一人はいるタイプの優等生。
KはHにフラれた後も付きまとい、Hはそれを心底嫌がっていた。

放課後、まだクラスに人が残っている時、Hが入って来た。
そしたらKはまた「H~、一緒に帰ろうよー」などと笑いながら話しかけたが、Hは無視。
軽く注目を浴びたのが気になってか、意地になって「Hさ、せめて友達として普通に付き合おうよ」と、軽くHを責めるような口調になった。

そしたら心底うんざり、って顔でHが「無理。友達と思ってない。私あんたみたいな性格最悪男、生理的に受け付けない。多分死んでも泣かない。人にブスとか言う前に、自分の顔鏡で見たら?性格の悪さは見えないけど、それ位は見えるでしょ」と言い放った。

教室が静まり返り、Kはショックを受けた様な顔で呆然。

H:「ショックだった?でも普段あんたがみんなに言ってる事の100万分の1も言ってないけど?酷いと思ったら、今まであんたが傷つけてきた人たち全員に土下座してきたら?」

そう言うとさっさとHは帰って行った。

Kは「あいつきっついなー」と笑い話にしようとしていたが、涙目だし、顔真っ赤だし、挙動不審だし。
女子からは「いい気味だ」位にしか思われてなかったみたい。

実際男の俺でも「やりすぎだろう」と思ってた位だから、やられてた本人たちは相当辛かっただろうし、いじめを止めなかった俺も同罪だろうが・・・。

でも中学位でそんな女をかばったりなんかしたら「お前あいつの事好きなんだろ」とかからかわれるのは目に見えてる。
あといじめの対象が自分に来るのをみんな恐れていたと思う。
卑怯ないい訳だけど、止められなかった。

その次の日からKは学校に来なくなった。
虐められていた女の子達はノビノビしてるし、Kとつるんでいた奴らの中の、ブスいじめをしていた奴はすっかり鳴りを潜めた。

その後、バレーボール大会があったがブスいじめをしてた奴もそういう事をしなくなったために、とてもいい雰囲気で大会を楽しめた。

結局、そのまま卒業になり、Kはどうするんだろうと噂にはなったが、こっちも受験があるし、人の事を心配してる場合ではなくすっかり忘れ去られた。

同窓会で聞いた話によると、Kは高校には進学せず、完全に引きこもりになったそうだ。
あれから15年経って、たまたま中学時代の友人と再会し飲みに行き、そしてふとKを思い出し「どうなっているのか知ってるか?」と聞いてみた。

そいつがKの家の近所に住んでいた事を思い出したからだ。
友人によると、Kはあれ以来ずっと家に引きこもり、近所に聞こえるような大声で家庭内暴力を振るっていて何度か、警察が来るような騒ぎになっていた。

そして22歳の時に突然の自殺・・・。
当時まだ近所に住んでいた友人は、親に言われるまま葬式に行ったがほとんど人もいないさみしい式だったそうだ。

Kには妹がいたが、酷く殴られていた為中学を出てすぐ全寮制の高校に入り、地方の大学に進学、式にも戻らなかったという。

自殺の直前まで家庭内暴力は続いていて、顔に大きなあざを作ったままの両親は「悲しみつつもホッとしたような顔だった」らしい。

死ねば全てが許されるとは思わないが、自分と同い年の人間が、若くして命を絶ったというのが重たかった。

ふとHの「あんたが死んでも泣かない」って言葉を思い出して複雑な気持ちになった・・・。

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