あの音は群れっぽかった

カテゴリー「不思議体験」

父がアマチュア天文家で、小さい頃は天体観測にちょいちょい付いて行ってた。
と言っても機材背負って山登りとかじゃなくて、車で行けるところまで。
山の中のちょっと開けたところに車停めて、夜観測して、明け方ちょっと寝て帰る流れ。

その中で夏頃、秩父のどっかに付いてった時のことだが、父は望遠鏡いじってて、俺はその横で銀マットの上に寝袋敷いて寝っ転がって星空見上げてた。
ペルセウス座流星群の時期だったから、流れ星の数とか方角とかぼんやり数えてた。

道は出来てるし停めたとこも拓けてるんだけど、アスファルトとかじゃなくて石?砂利?がひいてある程度で、草むらも樹も遠いから虫の声もそんなにしてなかった。

偶に父が動いたときにジャリ、ジャリって石を踏む音がするのを聞きながら空を見てたんだけど、唐突に父が俺の名前呼んだ。

何?って上半身だけ起きると、父は難しい顔して「(車に)乗って、早く」って急かす。
父は普段のんびりしてる気質でこんな焦ってるの初めてだったから、なんかヤバイことが起きてるのかなと思って慌てて靴履いて車に乗った。

直ぐに父も運転席に入ってきてドアロック。
「機材は?」って聞いたら「機材は買い直せるから」って返答。
そこでやっと「逃げ出さなきゃいけない緊急事態」なのかもって気付いてゾッとした。

場所によっては走り屋の兄ちゃん姉ちゃんと遭うこともあるし、何か車の音かライトでも見えたのかなと思った。
けどそういう人たちって大体こっちには無関心だし、こんな道路状態の悪いとこ走るのか疑問だった。
何が起こったのか聞こうとしたら、先に父が「野犬かなー、あの音は群れっぽかったね」と言う。

音?音なんて聞こえなかったけど・・・と思う俺をよそに、「結構近くまで来てたな、気付かなかった」とか「熊じゃないとは思うw」とか言ってる。

そんで車の後ろの方、車も俺たちも南を向いてたから北の方をじっと見てる。
俺も習って車の側面や北の木が生い茂ってる辺りを観察してみてたんだけど何にもいない。

10分くらいそうしてたんだけど、本当に何もない。
それで父がそっと車から降りて、車の周りと下と、その北の方までちょっと行って確認してきて、「大丈夫そうだ」って判断して観測再開した。
正直「?」だったけど結局普通に朝までいた。

俺としてはただの父の奇行なんだけど、父に何が聞こえてたのかなとは思う。
近くまで来てたって言うけど、停めてた辺りは結構広くて見通しも良くて、北の木が茂ってるのだって10m以上向こうだった。

何かいたなら直ぐわかる筈だし、近くにいたってそいつが何処かに隠れるまでに姿が見えると思うんだけど。
俺には音すら聞こえなかった。

それに、もし本当に危ない野生動物が付近にいるなら観測続行なんてしない。
父はハッキリと北の方を警戒してたから俺たちの背後から何かしらが大勢で来てたんだろうな。
多分、本当は野生動物じゃなかったんじゃないかなって今は考えてる。

大きくなってから父に聞いたけど「そんなことあったっけ?www」って返事なので真相は解らない。

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