樹海にて

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

みなさん、オフ会は充分お気をつけて行って下さい。
そして、楽しい一時を味わって下さい。
私はある事情で行けませんが、以前に行った時の不思議な体験話をさせて頂こうと思います。

平成12年9月5日のことです。
登山仲間4名で、青木ケ原樹海へキャンプに出かける話が持ち上がり、2泊3日の計画を立て、楽しい時を過ごせるものと思っていました。

我々は風穴という観光名所にある駐車場に車を停め、そこから樹海へ入って行きました。
この樹海への入り口は、一般の観光客からは分からないような場所にあり、しかも道が狭いので、一列でしか進むことが出来ません。

道の入り口近くには、「命を大切にしよう」というようなことが書かれた看板が立っており、相談センターの電話番号も記載されていました。

入山したのが、お昼過ぎだった為、しかもいつもの登山とは異なるので、心にも余裕があり、明るい内は木々の写真を撮りながら、ゆっくりと目的の場所へ歩いて行きました。

目的地というのは、テントが立てられるだけのスペースがある地図で調べただけの平らな場所で、周りは木々一色というところです。

かなりペースを落としていたので、その目的地についたのが、夕方頃になっていました。
まだ明るいうちにテントを立てたり、夕食の準備に取りかかったりし、やがて、PM7時くらいで辺りは暗闇となりました。
ランタンを焚き、皆で食事をしながら、談話を楽しみました。

初日は準備や移動で疲れた為、その日はPM10時くらいに就寝することになり、二つ立てたテントに2名ずつ別れ、就寝したのです。

それまでは、一時も恐怖というものは無く、テントの中でも談話していましたが、やがて、時刻はAM12時頃を指し、眠くなり始めた時のことです。
「ドサッ」と我々のテントの後方から音が鳴ったのです。

私ともう一人の相方は、その音に気付き、3分間ほど沈黙し、その後の音から何であるかを耳だけで探ろうと必死でした。

・・・が、結局、その後は何も音がせず、原因は分からなかったのですが、それは何か重いものが地に落ちたような音でした。

二つのテントは1m程度の間隔で隣り合わせに立てていたので、テント越しに、「今の音何?」と隣のテントに問い合わせてみましたが、向こうの二人も聞こえたようで、「分からない」と答えが返って来ました。

我々は多少の恐怖を体験してきましたが、今回のキャンプ地は、樹海とあって、これまでに経験の無い恐怖を感じていたので、音が鳴った場所を確認するといった行動には出られず、やがて、AM2時近くになろうとしていました。

その時です。

「ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・」

遠くのほうから、足音らしきものが聞こえたのです。
しかも、その音はだんだんとテントのほうへ近づいてくるのでした。

おそらく、テントから2~3mほどのところで、その足音がピタリと止み、もう、この時点で全員が恐怖のピークになり、隣のテント仲間の一人が、「ああ、誰ですか!」と叫んだのです。
が、返事は返って来ません。

私は体中震えていましたが、それは恐怖というよりも寒さで震えているような不思議な感覚に陥っており、しかも身動きが取れなかったのです。

それから、2分近く経った時でしょうか。
その足音は、先ほど物が落ちたような音がした場所へ向かって行きました。

その時、テントの裏側のほうから「ああああ、誰がこんなことをさせたんだーーー!くそーーーー!」と。

その声がした途端、隣のテントの仲間二人が、私のテントに来て、「おい、早く逃げるぞっ!」と呼びかけ、私は考えもままならない状態で、それに応じ、4人全員がその場所を全速力で走り逃げ去ったのです。

途中、恐怖にも関わらず私は見てしまったのです、白っぽい礼服のような衣服を着た人間の様なものが木にぶら下がっているのを・・・。

それ以来、私は絶対に樹海へは行かないことを誓いました。

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