虫の幼虫と成虫がたかってた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

人によっては気分悪くなるかも知れないので注意。

高校の頃チャリ通してたんだけど、家の近所のアパートの前をチャリで通り過ぎた時に何とも言えない匂いを嗅いだ。
上手く表現出来ないのだけど、気持ち悪くて不安でヤバい匂い。

私の親は会社員なんだけど、祖父母が商売をやっていた関係でそこの大家のお爺さんを知っていたので、その家まで行って変な匂いがすると伝えた。
お爺さんにその事を告げると変な顔をしたけど、私が匂いを嗅いだ場所まで来てくれた。

その匂いを嗅いだお爺さんは顔色を一瞬で変えて、家まで戻り合鍵を持ってアパートまで再度戻り、
私にケータイで警察に電話を掛けさせて、繋がるとケータイを私からひったくり何かを話して電話を切った。

すぐにやって来たのは警察と救急。

お爺さんは警察と救急の人に何かを言い、扉を開けて中に入って行った。
開いた扉からは何か虫がバーッと一斉に出て行き、それを見た私は呆然。
部屋の中を覗くと中はゴミだらけで、匂いだけで吐きそうになった。

恐ろしい事に、その中には足を紐で繋がれた子供が置き去りにされていた。
救急の人が担架に乗せて運んで行ったんだけど、匂いが凄かったのを覚えてる。

足首がチラッと見えてしまったんだけど、骨と皮だけで黒と白のブツブツが見えた。
後から聞いたら、虫の幼虫と成虫がたかっていたんだって。

そこの部屋に住んでたのは母親と子供だったんだけど、母親は部屋の窓に新聞紙を貼って目張りまでして失踪したらしい。
部屋にあったゴミからわいた虫が子供にたかっていたそうだ。

その子はしばらくは喋れなかったり、人を見るとパニックになったり大変だったけど、8ヶ月位経った頃にはだいぶ元気になって、遠くの親戚に引き取られて行った。

とにかくそんな現場を見てしまった事が修羅場だった。
大家のお爺さんが私に即警察と救急を呼ばせたのは、戦時中これと同じ匂いをいつも嗅いでいたからだそうだ。

修羅場をくぐった人間はやっぱりどこか違うんだな、と思った。

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