この話はちょっと心霊現象とは違うかもしれませんが、異常に恐ろしい経験だったので書き込みます。
皆さんはどのように感じるでしょうか。
大学時代の飲み会の帰りの出来事です。
最寄の駅での飲み会だったので、駅まで自転車で行き、帰りも自転車で家へ向かっていました。
夏の夜風が酔い覚ましにちょうど良かったのを覚えています。
気分よく自転車を走らせていると、前方の街灯の下に何か黒い影が見えました。
特に何も感じなかったので普通に近づいていって解ったのですが、それはうずくまった男性でした。
どうやら気分が悪いらしく、肩が大きく揺れるほどの深呼吸をしており、うめき声もあげていました。
「なんだ、酔っ払いかよ・・・」そう思いつつ一回は通り過ぎたのですが、ほって置くのもなんだよな?と思い、引き返して男性に声を掛けました。「大丈夫ですかぁ?」するとその男性は「ええ」と返事をしながら、ゆっくりと顔を上げました。
「ひっ!!」私は思わず悲鳴を上げてしまいました。
その男性の顔は、火傷でもしたかのように酷くただれていて、元もとの顔がどんなだったかが想像出来ないほどだったのです。
私のそんな態度に気分を害したようで、その男は「俺の顔に何か付いているのか!」と怒ったような口調で言いました。
私は恐ろしくなって、その言葉が終わるか終わらないかの内に自転車に飛び乗り、一目散に逃げ出しました。
しかし、後ろから追いかけられているような気配があり、必至で自転車を走らせました。
気づいたら薄暗い公園に着いたのですが、「コツ・・・コツ・・・」と後ろから不気味な足音が近づいてきて、私はパニックに陥ってしまいました。
また自転車を走らせ、もっと明るい場所に行けば良かったのですが、人間パニックになると本当に考えが回らなくなるモノです。
その時公園内で目に付いた一番明るい場所、トイレに逃げ込んでしまったのです。
一番奥の個室に入り、鍵を掛けてじっと息を潜めていました。
「コツ・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・」足音がトイレに入って来ました。
「ギィー・・・」トイレに入ってすぐの個室が開けられる音がしました。
「・・・バタン・・・」ドアが閉まります。
「コツ・・・コツ・・・コツ・・・」狭いトイレの中に足音が響きました。
「ギィー・・・・・・・・・・・・バタン・・・」順番に開けては閉めていました。
「あぁ、次はこのドアだ・・・」
私は恐ろしくなって、必至でドアノブを押さえ、ただただ顔を伏せているだけでした。
息を殺しているのですが、早くなった心臓の鼓動は非常に大きく聞こえて、あの男に聞こえてしまうのではないか?と思うとまったく生きた心地がしませんでした。
「コツ・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・」不思議な事に、その足音は私の入っているドアではなく、出口の方へと消えて行ったのです。
「まだ油断は出来ない」そう思った私は、そのままの姿勢を崩さず、じっと息を殺していました。
どのくらい経ったでしょうか。
そとも薄っすらと明るくなってきましたので、「いくらなんでも、もういい加減に大丈夫だろう。朝にもなったし、そろそろ人が出てくる時間だし」と思い、意を決してドアの鍵を開け、そーっと隙間からトイレの中を確認しました。
当たり前ですがあの男の姿はありませんでした。
ドアの上下の隙間があまり開いていなかった為気づきませんでしたが、外はだいぶ明るくなっており昨日の深夜の出来事が嘘のようでした。
ずーッと同じ体勢で力を入れていたので、全身にだるさがありましたし、晴れ晴れとした気分だったのでウーンと背伸びをしました。
「ヒッ!!」次の瞬間私は凍りつきました。
背伸びをしたときに何気なく目をやった個室外側の小窓から、あの男が覗いていたのです。
私は人の姿を求めて、一目散にその場から逃げ出しました・・・。
私の実際に今まで生きてきた中で一番怖い体験でした。