やはり泥棒だったな

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

10年以上前の話でもしてみます。

当時私には小学校低学年の娘と幼稚園の息子がいて、実家と同市内住み。
実家には2歳違いの姉がいて、数年前に婦人病で手術をして未婚。
典型的な優秀な姉と出来の悪い妹のパターンで、小校以来何をしても比べられない事はなかったのと、「子供を産んだ私のほうがお姉ちゃんより偉い」と思い込んでいた当時の私の言動のせいで、姉妹仲は最悪でした。

姉は人形好きというか、人形の服作りが趣味で、ジェニーやバービー10人以上に、今ならオークションにも出せるような服を作っていました。
娘はドレスを着たジェニーを欲しがっていて、実家に預かってもらった時に、留守中の姉の部屋から「おばちゃんがあげるって言った」と持ち出して、持って帰ってきたこともありました。
夜に母から「(姉)はあげた覚えはないって言ってるけどどうなの?」と電話があり、結局子供の思い違いという事になりましたが、ガンの転移で入院の決まっていた姉は、「泥棒がいるから」と部屋に鍵を取りつけました。

1年ほどしてガンが肺や脳に転移していた姉は亡くなり、お葬式の後何日かして娘が「おばちゃんのお人形が欲しい」と言い出し、母に話すと「実はそう言うだろうけど絶対に渡すなって、入院前に言い残してるのよ」と言います。
私は娘を泥棒扱いされたことにむかついていたこともあって、「形見だと思って大事にするし、(娘)があんなに欲しがってるんだから」と孫に甘い母に承知させて、ジェニーだけを全部もらって来ました。(バービーは欲しがらなかった)

その頃セーラームーンが流行って娘の関心はすぐにそちらへ移り、ドレスを追剥されたジェニーはおもちゃ箱へ放置されたままになりました。
息子に落書きされたのを消そうとして見ると、背中に小さく『やはり泥棒だったな』の文字。
他の人形にも2人くらい同じような文字がありました。

すぐにジェニーは処分しましたが、死ぬまで姉に蔑まれていたのかと思うと今年もお盆のお参りに行けません。

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