たぶんもう生きてはいない

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

大阪の某社で勤めていたんですが、限界を超えた人が凄まじい行動をするのを目撃したことがあります。
私はそれがトラウマで転職したくらいです。

プラスチック成形機の金型ってご存じですか?
あれの間に、先輩が入っていったんです。

製品が張り付いたのかな?と思って、どうしたんですか?と声をかけた時気づいたんです。
先輩が安全柵を自分で閉めていたことに・・・。

ズー、ズシュー、メキメキメキメキパキブシュー。

咄嗟に皆が、手元にあった非常停止ボタンを手当たり次第押しました。
私はぴったりと閉じてしまった金型をみて、たぶんもう生きてはいない事を知っていました。

しかし開けない訳にはいかず、そのジレンマに主任に泣きついていました。
主任は工場長を呼び、そして現場にいた人達を全員工場から退去させて、機械を操作しました。
工場長の嗚咽とも悲鳴ともとれる声がしました。

救急と警察の方がきましたが、警官の方は開け放たれた機械をみるなり、口から嘔吐物をぼろぼろとこぼしながら、工場の外へと走っていきました。

その時、ドアからちょっとだけ見てしまった。
そこには、まだ人間の名残をわずかに残した塊がありました。
私はその後失神したそうです。

今でもまだ夢に見ます。

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