自殺じゃないんじゃないかって

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

結構前の話なんだけど・・・。
俺と妹がまだ小さかった時に、親父が「怖い話してやる」って話しはじめた。
まだ親父が若い頃に一人暮らしをしてて、朝ゴミ捨てにいったら上の階の男性と遭遇して、一緒にゴミ捨てながら雑談したんだって。
そのあと部屋に戻って空気入れ替えようと窓をあけたら、上の階の男性がおっこちてきた。

さっきまで普通の話してた人が突然自殺するんだなってびっくりしたらしい。
「あとから近所の人とかに、『突発的な自殺だったらしい』って聞いた」と。

まあ、そんなに怖い話じゃないんだけど、そのとき顔がこっちを向いてたら目が合ってただろうって思うと、親父は怖くてたまらなかったって話だったんだけど、ふと妹が、「すぐ上から落ちたのに、なんで後ろ姿だったの?」って聞いて、そこからなんとなく場が凍り付いた。

俺はその時、全然なんでみんな黙るのかわからなかったけど、親父が「今気づいてもなあ・・・」ってつぶやいて、その先その怖い話とやらをしなくなった。

で、今になってやっとその意味がわかったんだけど、普通自殺する時って前から落ちるよな。
すぐ上の階から落ちたなら当然顔は親父の窓へ向くはずで、今更あれが自殺じゃないんじゃないかって気づいても・・・てことだったんだろうなあ。

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