飛び降りるつもりだった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

大学時代、5階建てのマンションの5階に一人暮らししてたんだ。

ある日廊下を歩いてたら、分かりにくいんだけど隅っこに梯子があってそこから屋上に上れることを発見。
俺は屋上を気に入ってて、たまに上っては景色を眺めたりコンビニ弁当持って上がって食べたりしてたんだ。

で、季節はよく覚えてないんだけど(秋だったかな?)、学校のない日で昼過ぎまで寝てしまった俺は夜にベッドに入るもなかなか寝付けなくて夜風に当たるために屋上に上がったんだ。

午前3時くらいだったと思う。
真っ暗だけど街の明かりはあって駅の方はきれいだった。

んで何となく近くのボロアパート(10mくらい離れてる2階建て)に目を向けたら見てしまったんだ・・・。

何を見たかって、一人の人物がフラリとやって来て、ドアの前でしゃがみ込んでドアに付いてる郵便ポストのフタを上げて部屋の中の様子を覗いているのを・・・。
その男は1階の部屋を端から順番に覗いて回って、2階の部屋も同じように覗いて回っていた。

俺は意味の分からない行動をただ見ていたんだけど、全ての部屋を覗き終えた男が2階の階段を降りようとした時にこっちの方を見たんだ。

俺:「ヤベ、見られた!!」

咄嗟に俺はほふく前進のような格好でうつ伏せになった。

俺:「おい気付いてないよな?角度的にこっちの方が高いし暗いし・・・」
俺:「とゆーか何なんだよあいつは!」

一瞬でいろんな事を考えたけど、どーしても気になったので少しだけ頭を上げてチラ見してみた。
すると、男はこちらに向かって道路を小走りで走っている最中だった。

俺:「やべやべやべ!マジかおい。こっち来る?」

気の小さい俺はどうすることもできず、そのままの格好で固まってしまった。
色々な事を考えたけど、本当に恐怖で動けなくなった。

・・・どの位時間が経ったろう、夜が明けていた。
結局、男は屋上には上がってこなかった。
俺は部屋の鍵もかけずに出てきたので部屋の中が気になったが、とりあえず異常はなかった。

まー結論から言ったら直接怖い体験をしたわけじゃないけど、あの時の俺は本気でパニクった。

あの時もし男が屋上に上がって来たら、俺は迷わず飛び降りるつもりだったよ。

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