最近したホラーゲームの中で、似たような状況があってふと思い出した。
確か小学5年生くらいの時の話。なんか書いたら長くなった。
私は母に連れられて、同い年の従姉妹のA子と外でご飯を食べて、その帰りにいきなり見知らぬ場所に連れて行かれた。
なんかそこはすごい混んでて、駐車場に入るまでにちょっとした渋滞が起きていた。
母に「どこに行くの」と聞くと、「演奏会があるから聴きに来た」と答えた。
当時の私は大きな音が苦手で、映画館も演奏会もできれば避けたい場所だった。
母はそれを知っていながら、「連れてきちゃえば案外大丈夫かも」みたいな感じで連れてきたらしい。
でも私は嫌だから、母と押し問答を繰り返した結果、隣にある図書館で演奏会が終わるまで待ってることになった。
A子も「私ちゃんが行かないなら行かない。一緒に待ってる」ということで、とりあえず決着ついた。
相変わらず進まない渋滞の中待ってると、ふとA子側の窓がコンコン、とノックされた。
2人組の女性で、A子が「ちょっと前までピアノ習ってた先生だ」というので窓を開けた。
話を聞くと、「この演奏会のチケットが余ってるから、もし必要なら譲りましょうか?」ということだった。
ありがたい話ということで、演奏会会場の前の広場?みたいなところで合流することとなった。
その2人組は白い服を着た人と、黒い服を着た人で、いまさら名前もわからないので白い人黒い人と呼ぶ。
A子がピアノを習っているというのは白い人で、黒い人は友人で一緒に来たらしい。
白い人と母はなんかすごい意気投合して、2人で盛り上がってた。
いざ演奏会の建物前で、私が「じゃあ図書館で待ってるから」とA子と離れようとすると、白い人が「え、行かないの?」と呼び止めてきた。
私は「大きい音苦手なんで、図書館で待ってます」と言い、「A子だけでも行って来たら」と促したんだけど、当時私の引っ付き虫だったA子は「私ちゃんがいかないなら行かない」と頑なに拒む。
白い人は「そっかー、じゃあ仕方ないね」と引き下がったんだけど、黒い人が「演奏会いかないのはもったいない!」と引き止めだした。
せっかく連れてきてもらったんだから聴くべき、ただで聞けるなんて運がいいのに、A子ちゃんだって聞きたいのにあなたの我儘で引き止めるのはよくない、とねちねち。
母も「もったいないわね」というし、白い人も「とりあえず入って、駄目だったら出ればいい」と言い出す。
なんじゃそりゃ・・・と思いながら「A子、聞きたいなら一緒に演奏会行って来たら」と言い残し、私はさっさと図書館に移動した。
図書館に入ってしばらくすると、A子がやってきて、「私も図書館にいる」というので、各々黙々と読書していた。
少しすると、隣に誰かが座った。
見ると黒い人だった。
「今からでもまだ間に合うから、演奏会聴いてきたら」「あなたの我儘にA子ちゃんを巻き込んでいるのにはどう思っているの?」と小声でねちねち。
「A子がいかないのはA子の意思だから」と言っても、「あなたが行くっていえばA子ちゃんも行くんでしょ」と言う。A子も頷く。
(駄目だこりゃ)と本を戻すふりをして席を立つと、黒い人も私についてくる。
黒い人は結構身長が高くて、当時チビだった私からすれば後ろをついてくるだけで恐怖だった。
席に戻ったらまたねちねち言われそうだったので、とりあえず撒こうと、本を戻した後も探すふりをして歩いた。
トイレに逃げ込んでも同性だから追い詰められそうだし、車のカギは母が持ってるし、当時携帯なんて持ってないから連絡取る手段もない。
司書さんに助けを求めても無意味だろうし、A子はただの引っ付き虫だから当てにならない。
後ろを振り向かなくても、黒い人の靴の音がかつーんかつーんとついて回っているし、大げさかもしれんが死ぬほど怖かった。
とりあえず距離を取ろうと、エレベーターを使って2階に行ったんだけど、そこには誰もいなくて逆に追い詰められる結果となった。
どうしようともたもたしてると、階段のほうから靴の音。とっさに学習机の下に身を潜めた。
じっとしていると、黒い人の足が通り過ぎて、足音が遠くなって、近くなって、また足が見えて、階段を下りて行った。
その後は半泣きになりながらA子を回収し、図書館にいたらまた見つかると判断し、演奏会のホール前のドリンクコーナーで演奏会が終わるのをただただ待ってた。
終了後に出てきた母に話を聞くと、「黒い人は演奏会の途中で用事があるから、と帰った」「私子のところに行くなんて言ってなかった」と言い、黒い人に追っかけまわされたことを話すと「あんたは人見知りだからね」と笑い飛ばされた。
白い人とも既に別れた後で、なにがどうなってこうなったかは未だにわからない。