なか村まさ子六十二さい

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

大学1年の時。(20年ぐらい前)
同じサークルにいた(それまであまり親交もない)同級生(I君)から、「今日、うち(彼のアパート)に来ない?相談したいことがある」と真剣な顔で言われ、彼についてそのアパートへ行った。

築20年は経ってるかな・・・6畳一間、風呂なし、共同便所。
しかし家賃は2万円。(今では文化財級かもw、でも20年前は大学1年なんて半分はそんな感じだった。

I君の部屋は意外とこざっぱりした感じ。

俺:「で、相談て何なの?」

I君は言いよどんでいたが、押し入れを指さして、「何かおる。見て!」正直、I君の必死な顔に笑い出しそうになったけどこらえた。

俺:「何がおるんや?」
I:「毎晩あっちから何かが出てくるんや」

意味分からんwとりあえず0感な俺は押し入れのふすまを開ける。
中身は空。(たぶんIは片づけておいたんでしょう

I君は「そ、そこに何か貼ってるでしょう?見て!見て!」と、言うやいなや彼は部屋を飛び出した。

残された俺はかなり不愉快だったけど、押し入れの中を調べた。
いや、調べる以前に彼が言った「貼ってある」存在が目の前にあった。

壁紙用(60センチ四方)のクロスだ。

俺:「なんでこんなもんが怖いのか」

半分腹を立てながら調べる。

普通クロスは住宅用のノリで全面キッチリ貼ってある。
しかし18歳にそんな知識はない・・・。
それは真ん中あたりが浮いていた。

これは??・・・と周辺に爪を立てると、クロスの四辺を両面テープでくっつけているだけ。

クロスはすぐに落ちた。

壁を見て全身の鳥肌が立った。

一回押し入れ&部屋から出て、隣室の同級生の家に避難してたI君に声を掛けた。

俺:「あれ、はがしちゃったから文房具屋さんで両面テープ買ってきて~(引きつり笑)」

俺が見た物。
左下(床下から2~10センチあたり)に、推定5~6歳の子供が赤いクレヨンで描いた

顔の絵。
顔の上には「おかあちゃん」と書いてあった。

まずこれが異常だ。
いくら寝ぞべって絵を描いても、子供とはいってももっと視線は高いはず。

普通脛(すね)~膝より高い位置しか子供は落書きしないし。
俺が鳥肌したのは、クロスの右下の赤クレヨン。

「おかあちゃん」とたぶん同じ筆跡で、『なか村まさ子六十二さい』

I君が両面テープを買ってきて、クロスを張り直してたら、当然、I君が聞いてきた。

I:「何かあった?」

何もなかったと言ったら、Iは剥がして自分で確認するだろうな、と思った。
だから、左下だけめくって見せて、「前の住人の子供が落書きしてたんだよ。それだけのことw」と。

I君はそれでも気持ち悪い、と翌年近くのワンルームに転居した。

後日談がある。
その翌年、大学関係で斡旋されて、あのアパートに同じサークルの1年生が1人入った。

I君の部屋に入ったのも同じ大学の1年生だったらしい。
1年の後期に入った頃からおかしくなり始めて、夜中の2時3時にアパート中のドアを殴って、「うおぉぉおおおぉぉお!助けて!助けて!殺されますぅお願いです助けてぇ!」と。

数日後、親が引き取りに来てその後は不明(らしい)。

数年前帰省してレンタカーで、大学時代の思い出をたどった。
あのアパートはもうなくて、立派な民家が建っていた。

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