『葬儀屋が教えるココだけの怖い話』(宝島文庫)の中の「腐蝕した遺体と暮らした老女」ってってエピソードが後味悪い。
老父夫婦ふたりだけの長屋生活。
認知症の妻の介護に疲れ、おじいさんはある日突然、心臓麻痺を起こしコタツで寝たまま死んでしまう。
そのまま数か月が過ぎるも、付近の住民が異臭に気付き警察に通報。
警察官とともに、遺体を引き取るために葬儀屋である投稿者もその部屋に足を踏み入れると、凄まじい異臭とともに、壁一面に大量のゴキブリとウジ虫が覆っていた・・・。
またおじいさんの遺体には大量のウジ虫がたかり、ゴキブリがおじいさんの口を出たり入ったり這いずり周り、むき出しになった骨のすき間から無数のゴキブリが何匹がはい出てきたという。
これだけでも嫌な話だが、追い打ちをかけるのは、そんなこの世の地獄のような惨状であるにも関わらず、認知症を患っていた妻は状況を理解できず、ゴキブリやウジとともにいつも通り暮らしていたそうで、遺体を引き取りにきた葬儀屋に「うちのおじいさん起きなくてく困るのよ。ほんと怠け者で」と、ぶつぶつとつぶやいているだけだったそうな。
そのおばあさんの裸足の足裏には、無数のゴキブリとウジ虫が潰した跡があったという・・・。
この著書は葬儀屋が経験した心霊体験がほとんどだけど、超高齢化社会における老人の孤独死を扱ったこのエピソードが強烈で後味が悪かった。