近所のキチガイ婆さん

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

会社の同僚の話。

会社の同僚は戸建てに一人暮らしをしている。
もともとは祖父母の住んでいた家で空き家になっていたのだが、就職を機に住むことにした。
一人で暮らすにはかなり広い二階建ての家だったので、上は物置として使い、一階だけで生活をしていた。

そんなある日。
飲んでくつろいでいた時のこと。
夜も21時を過ぎていたが呼び鈴をならす者がいる。
誰だろう??と思って玄関を開けると、隣に住む60代のおばあさんであった。

何かあったんですか?と訪ねると、「あんたの家の2階に知らない人がいる。」という。

もちろん家には自分一人しかいないので、「気のせいですよ」と言ったが、「いや絶対にいる。私は見た!」と言ってきかない。

実はこのおばあさん、たまにこういうことがある。
いい加減めんどくさくなり、「しっかり見るから大丈夫」と無理矢理追い返した。

その夜。
布団に入り、うとうとしていると2階から物音がする。
気のせいではなく、はっきりと聞こえた。

さっきの話もあったのでとても怖くなったが、確認しないわけにも行かないので、恐る恐る2階へ向かった。

そーっと覗くと、人影らしきものが・・・。

意を決して「誰だ!」と電気をつけると、そこに立っていたのは先ほどのおばあさんだった。
手には包丁を持っている。

あまりの展開に情けない悲鳴を上げながらあわてて部屋を飛び出し、即通報した。
そして程なく御用となった。

警察官に聞いた話によると、「2階に知らない人がいると忠告したのに、聞く耳を持たないから守ってやろうと、屋根をつたって侵入した」とのことだった。

もし気づかず寝ていたら今頃どうなっていただろう。
結局人間が一番怖いと同僚は言っていた。

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