そいつに住所も知られてしまった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

俺の先輩の話。

週末は駅でナンパするのが日課だった。
その日はすぐにかわいい子が釣れてドライブをしていた。

どういうわけか人気のないところに行きたがる。
まあ好都合か、と希望通り車を走らせた。

夜は絶対に人のこない駐車場。
先輩のとっておきの場所だった。
車を停め会話をしていると何の前触れもなく突然、女が二本の指で先輩の両目を突いた!

不意のことで両目を直撃した先輩は、あまりの事に我を失った。
ビニールの紐のようなものが首に巻かれ、絞められた。
先輩は抵抗するが、ものすごい力で、振りほどくことが出来ない。

先輩が負傷しているということを差し引いても、女とは思えないすさまじい力だった。

必死に抵抗する中、手に触れたキーケースを取り、一本のカギを女の脇腹に突き立てた!

「ギッぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

女がうめき、力が緩んだ隙に女を押しのけ車外に出た!
そのまま振り返ることもなく走って逃げたそうだ。

その場所から一番近かった俺の部屋に飛び込んできて、一部始終を話した。
首にはくっきりと紐の跡が残り、右眼のまぶたは深く切れていた。

あまりの事に警察や病院に行った方がいいのでは?と言ったが状況が状況だけに、あらぬ疑いをかけられたら困るといい、届けようとはしなかった。

しかし車を置きっぱなしにしているのはまずいとのことで、友達を呼んでそいつの車に乗り、三人で駐車場へ向かった。

先輩はひどく怯えており、バットを握りガタガタ震えていた。

車はそのまま置いてあった。
車内は抜け落ちた女の髪や血痕が残り、本当だったのか、と驚愕した。

車に置いてあった公共料金の払い込み票が消えていたそうだ。

先輩はその日から自宅に帰らなくなった。
引っ越し代が出来るまで、と言い事情を知る俺や友達の部屋に居候した。

結局女が現れることはなかった。

一番怖いと思った話です。

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